アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
報告4
-
「テっちゃぁぁあああん!!」
庭園につくと、ものすごい大声と共に高尾君が走ってきました。一緒に来た紫原君はお菓子を食べながら悠々と歩いてきます。
「テっちゃん!大丈夫!?傷は!?」
「そんなに重症だったら俺たちに会う前に病院行きでしょ〜?大丈夫だって〜」
──なんか本当に正反対な二人ですね……
「高尾君、そっちの子の言うとうりや。車椅子から落ちて傷に響いただけやで。」
「落ちたの!?響いたの!?病院行こう!?」
僕を抱えている花宮さんが、すごく「うざっ」という顔で高尾君を見ています。呆れすぎて僕を抱えている手も力が抜けかけているくらいに。
──まぁ、花宮さんは高尾君のような人が一番苦手そうですもんね……
そう思っている間にも高尾君の過剰な心配は続き、遂には「死なないで!」と、涙腺まで崩壊しそうになった瞬間。
「……あぁぁぁあああ!!うぜぇぇえ!」
花宮さんが限界値に達しました。
「車椅子から落ちたぐらいでギャーギャーギャーギャー騒ぐんじゃねえよ!ほんっとマジでうぜぇ。死なないでだぁ?んなもんで死ぬわけねぇだろバァカ!!」
「ちょ、花宮!落ち着きぃ!」
ここまでキレるのは相当ヤバいのか、必死に止める今吉さん。高尾君も驚きのあまりポカーンとしてました。紫原君はうるさそうに耳を塞いでいます。
──実際、抱えてもらっている僕に一番被害がかかっていますけどね……というか、本当にうるさい……
そう思い、花宮さんを止めようと口を開こうとしたその時。
「大体てめえは……んぐっ!」
今吉さんが手で花宮さんの口を塞ぎました。
「真〜、そろそろ黙ろうや。見てみい、高尾君たち固まっとるで。許してあげてもええんちゃう?」
──……?名前呼び……?
ニッコリと笑いながら、有無を言わさないような迫力の今吉さん。しかし、普段一緒にいるので慣れているのか、花宮さんは従う気ゼロという目で今吉さんを睨みました。
「許す気ゼロやな。でもなー、これ以上怒っとると……」
何やらゴニョゴニョと花宮さんの耳元で囁く今吉さん。そして次の瞬間。
花宮さんの顔が、一気に赤くなりました。
──!?!?!?
何が起きたのか、今吉さんが手を離しても全く喋らない花宮さん。赤い顔のまま、舌打ちをしてそっぽを向きました。
──というか、今までの間ずっと僕を落とさないとかすごいです。
「ちょ、え、いま何が起きたんスか?」
「まぁまぁ、そこはええやん高尾君。とりま黒子クンを病室に運ぼうや。」
今吉さんのその一言で、僕たちは疑問だらけになりながら病室へと向ったのです。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 146