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報告5
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部屋に着き、ベットに降ろしてもらうと、誰が呼んだのか、担当のお医者さんが来て診察してくれました。
幸い何も大事なことはないとのことで、僕たちとりあえずホッとしました。
しかし、ホッとしても空気は和みません。
理由?
そんなの、先程の今吉さんと花宮さんのことしかありません。
──なぜあの時だけ花宮さんを名前呼びに?それに、今吉さんが何か囁いたとき花宮さんが赤くなったのは何故?もしかして二人は……
とても聞きたいのは確かです、しかしうっすらと想像できるその先の言葉をいってしまえるほどの勇気を、僕は持ち合わせていませんでした。
「さっきから気になっとんたんやけどさ。」
そんな空気の中会話を始められるのはその空気の元凶の今吉さんくらいでした。
「高尾君ともう一人の君、紫原君だよな?黒子クンと仲ええの?」
「???別に、俺は普通だと思うけど〜」
「僕もそう思います。何かあるんですか?」
予想しなかった質問に疑問を抱くと、今吉さんはひらひらと手を振りながら笑いました。
「いやな、黒子クンバスケ部強制退部になったって聞いとったから、大半のバスケ部員とは険悪やろうなあと思っとったから。」
──え、そこ聞いちゃうんですか。
それでも不思議と嫌悪感などは一切沸いてこず、この人たちになら話してもいいと思いました。
「わかりました。お話しします。」
「え、テっちゃん……わかった。」
話している間、何故か今さらになって涙が出てきて、それでも僕は話し続けました。たどたどしい説明だったにも関わらず、花宮さんたちは話し終わるまでずっと耳を傾けてくれました。
「……なるほどな、そういうことだったのか。」
「黒子クンもよう頑張ったなあ。……まぁ、とりまそいつらは……」
「「潰そうか。」」
二人とも清々しいほどの爽やかスマイルに殺気を纏っていて、僕たち三人は背筋が凍るかと思いました。
「い、いえ、結構です……」
「んー?遠慮はいらんで。誰からやろうか?惟葉っちゅう奴か?ああ、全員まとめて殺ってしまうのもええな。」
──変換すら怖いです……!というか怖すぎて涙引っ込みました。
「いや、良い案思いついた。精神的にじわじわいこう。やるのも見るのも面白いし長く出来る。」
「おっ、ええなあ、それ。」
その後、花宮さんの一言が決定的となり、「とりあえず精神的に」という方針で行くことが決定しました。
──この二人が一緒にいると、相手が可哀想にすら思えてきますね……
「あ、そ〜だ、今吉さん?だっけ?俺も聞きたいことあったんだよね〜」
思わぬところからの発言に紫原君の方を向くと、珍しくお菓子を食べていない紫原君がいました。心なしか、その目は輝いているように見えます。
「二人って〜、どんな関係?」
──え!?今それですか!?
「ブ━━━━∵;(;:゜:3;゜;,);:∵━━━ッ!!」
「わっ、ちょ、汚いです高尾君。」
紫原君の質問を聞いた途端吹き出す高尾君。紫原君の質問には僕も流石にびっくりしましたが、高尾君の吹き出しにより驚く暇がありませんでした。
「ちょw紫原、それ今聞くか!?wwやっべ、マジ笑えるwwww」
「……もしかして、気づいた?ははは、どうしよか、真?」
「どうするもこうするも、バレたもんは仕方ねぇだろ。」
笑い転げる高尾君をよそに話し合う二人。ここまてくれば、十中八九答えはわかりました。
「あ〜、俺ら付き合っとるんよ。」
「やっぱり〜?」
「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「…なんとなくわかりましたけどね。あと、ちゃんと息してください高尾君。」
空気が一転、とても和やかなものとなり、病室には笑い声が響きました。今吉さんの「真のツンデレシーンと激レアデレシーン」の話や、それを阻止しようと必死になる花宮さん。看護婦の方が注意しに来るまで、騒ぎが落ち着くことはありませんでした。
──いいですね、こういうの。
ふと、そう思いました。
まるで、日常のような幸せ。
改めて、この人たちが好きだと思いました。
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