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復讐3
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「そう…そうだよ……クロさんなんて、僕が勝手に作った……ただの……ただの……」
《ただの幻想、だろ?》
そう、幻想。僕の妄想。僕が作り上げた架空の味方。
本当は僕は二重人格でその人格はとてもとても強くて優しくて僕を見守ってくれて僕を守ってくれて僕を励ましてくれていつもいつもいつも僕のことだけを考えてくれていて何があってもどんな時もそばにいてくれる僕を絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対ぜったい絶対絶対ぜっ対絶対絶対絶たいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいぜったいに裏切らない人。
なんて完璧なマボロシ。
でも。
どんなに高尾君が味方になってくれても、どんなに紫原君が守ってくれても決して塞がらなかった穴を、
それを埋めたかった。どうしても、埋めたかった。そうしないと、僕はずっと一人な気がしたから。
だからクロさんを作った。
そんなものを作りでもしないと僕は壊れてしまうと思ったんだ。
でも。
実際、そんなものがあったって関係なかった。
穴は穴のまま。
埋めようともがいても、もがいた分だけ広がっていってしまった。
《なんでだと思う?》
「…な……で……」
《お前が弱いからだよ。》
弱いから。弱いから僕は、僕は。
もう聞きたくなくて、知りたくなくて、力の限りで耳を塞いだ。
なのに、幻想の声は僕の中に響きわたる。
《そう、弱いからだ。弱いから、惟葉に騙された。弱いから、みんなに見捨てられた。裏切られた。弱いから、学校中の奴らにイジメられた。ぜーんぶ、お前が弱いからだ。》
「だって………だってそんなの…………。じゃあどうしたら……ぼくは…どうしたらいいんですか……」
幻想だと分かってしまった途端、幻は僕を切り裂いた。
涙が止まらない。これは夢?幻?それとも、現実?
《現実。紛れもない現実だ。お前は弱い。弱いから何の役にも立たない。いつか、高尾や紫原にも見捨てられる。》
「や、だ…!……それだけはっ……!」
《嫌なら勝て。自分で勝って、自分で手に入れろ。お前ならできる。お前を襲った奴らだって、お前が倒したんだ。あの時無意識に使ったあの力を、自分で使えればいいんだ。》
「自分で……勝つ…」
気がつけば、ポツリとそう呟いていた。
《そうだ。自分で勝つんだ。》
「自分で…手に入れる……」
《そう。欲しいものは自分で手に入れる。自分で守るんだ。》
「自分で……ま、もる…」
《守りたいもの、あるんだろ?》
「ぼくの、大切な人…たち。」
《お前が守るんだ。守るために、壊すんだ。》
「こわ……す…。ぼくが…壊す。」
──そうです……ぼくはまもらなくちゃ……
「僕が、勝つ…僕が、手に入れる…僕が、守る….僕が、壊す。」
ふと、自分が笑っていることに気づいた。
「は、はは…そうですよ……僕が…僕が、勝つ….僕が手に入れる…僕が守る、僕が壊す僕が勝つ僕が手に入れる僕が守る僕が壊す僕が勝つ」
《……そうだ、頑張れ。》
頭に、優しくて温かい何かが触れた。
顔を上げたら、君がいた。光のように笑う君が見えた。
「ク、ろ…さん」
僕は、みんなをこの笑顔にするために戦うんだ。
目を閉じて再び開けた時、もう幻想は消えていた。
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