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変化
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次の日は、今までにないくらい穏やかに起きることが出来ました。
昨日のことはまるで夢のようで、けれど確かに現実で起きたことだったのでしょう。
「体も…昨日より痛くありませんね……」
ゆっくりと起き上がっても、ちっとも痛くありません。立ち上がった時は多少痛みがありましたが、それも気にするほどのものでもありませんでした。
ベッドの下に並べられていたスリッパに足を通し、少しずつ歩いて廊下へと出ました。
まだ朝早いのか、廊下はシンとしていて、微かにどこかからカラカラと荷台を押す音が聞こえるくらいでした。窓から差し込む眩しい光が目へと反射し、思わず目を細めて手で影をつくりました。
まるで、世界が変わったような感覚。実際、本当に変わったのではないかと思うほど、昨日との景色の違いがありました。
「僕が、変わったからですかね…?」
小さくそう呟いて、段々とこみ上げてきた喜びに頬が緩むのがわかりました。
その表情のまま病院を出て、昨日の公園へと移動しました。目の前にあるのは、バスケットコート。常備されているのか、端に置かれたボールを拾い、ゴールの前へと歩きます。
ボールをドリブルする音がやけに懐かしく聞こえ、体が痛むのも気にせずにゆっくりとジャンプしました。
──あ、入る。
ボールを投げた瞬間何故かそう思え、手から離れたボールはそのまま吸い込まれるようにゴールへと入りました。
もう一度、さらにもう一度。何度やっても、ボールは美しい弧を描いてゴールへと入ります。今までは、こんなこと一度もありませんでした。
「技術……いや、身体能力が上がっているのでしょうか…」
レイアップシュートも、3Pシュートも。
何度もやったのに、一度も外しませんでした。
──ならば……
再度ゴールから離れ、ドリブルで近づきながら一気にジャンプしました。
やったことも、成功したこともない、ダンクシュート。
それすらも、僕は外しませんでした。
「まるで、僕じゃないみたいだ…」
驚きながらも嬉しくて、楽しくて、その後も何度もシュートを繰り返しました。途中であまりの痛みにギブアップし、地面に倒れるように寝転がりました。
──こんなにもスッキリした気分は、いつ以来でしょうか……
僕は変われた。
自分で変われた。
これからも、自分で変えるんだ。
だからもう、みんなに頼らなくても守れる。
邪魔者だって、自分で壊せる。
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