アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
作戦
-
「黒ちん、体調はどう〜?」
「大丈夫です。」
「お腹は〜?」
「へっていませんよ。」
「じゃあ〜…」
「紫原君、大丈夫ですから。心配しないでください。」
翌日。
登校中ずっと僕のことを心配してくれる紫原君を安心させるように言い、ほんの少し見えてきた学校を見据えました。
学校に行けば、僕が何かしらのいじめを受けることは確実です。クラスメート、他の生徒、そして、惟葉さんと紫原君を除くキセキの皆さんたち。先生たちは助けてくれないので、学校全体が敵になったも同然ですね。
──別に僕に攻撃が集中されるだけなら構わないのですが。危なくなったら反撃できるだけの力が今の僕にはありますし。問題は……
問題は、その被害が僕の周り──紫原君や高尾君、ないとは思いますが黄瀬君など──に及んだ場合。
一般の生徒が行うような中途半端なものならいいですが、紫原君を除くキセキの皆さんや惟葉さんが関わると話は変わります。
あの人たちは加減を知りません。
青峰君は相手がどうなっても殴り続けそうですし。しかも笑いながら、加減無しで。
赤司君も権力や地位を使って問答無用でやりそうです。実際、宣戦布告されたばかりですしね。
緑間君は普段ならそのようなことに参加しませんが、今回はそうでもなさそうですし、何をするかわかりません。
惟葉さんなんて、自分で自分の腕を切れるくらいですからね。もうなんだってやりそうです。あ、もちろん自分でではなく他の誰かを使ってですが。
最悪なパターンの場合、その要注意危険人物の異常行動に一般の生徒が便乗してくるかもしれません。
自分だけならどうにかできますが、そんな大勢に狙われたとき、僕はその人たちを守れるでしょうか。
考えてみてもいい案は浮かばず。
──赤司君や青峰君みたいに敵を作らないためには……どうすれば…
「……紫原君」
「ん〜?」
「どうして赤司君は怖がられているのでしょうか…」
「え〜?怖いからじゃない?」
「それはそうですが……なんて言うか…」
「ん〜……じゃあ黒ちんはさぁ、俺に喧嘩売ろうと思う?」
「いえ。」
「なんで〜?俺、黒ちんと喧嘩したことないよね。」
「その話の前に僕は紫原君と喧嘩する気はありませんし、直接喧嘩したことはありませんけど君に勝てないことくらい見ればわかりますから。」
──ん?
「それと同じじゃないの〜?誰だって勝てないってわかってる相手になんて喧嘩売らないでしょ?言っちゃえば、ナメられなきゃいいんじゃない?」
「あ……」
それは、考えてみれば当たり前のことでした。今まで気づかなかったのか不思議なくらいスッキリとした気がしました。
「でも、僕が今からナメられなくなるのは無理ですね……」
それもそうでしょう。今までクラスメートにリンチにされていた生徒がいきなり「ナメんな」と言ってきても誰も気にしないでしょう。
──では一体どうすれば……
しきりに頭をひねっていると、お菓子をすべて食べ終えたらしい紫原君がお腹をさすりながら何でもないように言いました。
「じゃ〜あ、誰か殴れば〜?」
「……え?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 146