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作戦5
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そのあとしばらくして、やっと先生たちがやってきました。いまいち事情をつかめていない先生たちは、「黒子と紫原はひとまず帰りなさい」とだけ言って保護者の対応に追われていきました。
荷物を取ろうと机に近づくと、その傍で座り込んでいた女子たちの泣き声が一層大きくなってしまったので、仕方なく僕は荷物を置いたまま帰りました。
帰る間、僕も紫原君も何も話しませんでした。
紫原君が連絡したのか、校門に何故か高尾君もいて一緒に帰ることになりましたが、その高尾君すら何も話しませんでした。
三人の足音だけが響き、あともう少しで僕の家に着くという時。
視界の端に黒い車が止まったのが見えました。続いて、反対側にもう一台。
なんだろうと少し見ると、その中からなんだかアレな、黒スーツの人達が出てきました。その人たちは脇目もふらず僕たちに近づいてきます。
──高尾君も紫原君も、気づいていない……?
瞬時に危険だと思い、二人に声をかけようとした時、黒スーツの中の一人が、警察が持っていそうなステッキに似た鉄の棒を高尾君目がけて振り下ろしました。
「っ……高尾君っ!」
「え………?」
高尾君と黒スーツの間に入った途端、頭に強い衝撃。続いて、激しい痛みと視界がぼやける。そのまま倒れそうになると、僕は他の黒スーツたちに捕まりました。
「ちょ、何こいつら……テッちゃん!!」
「黒ちん!…てか、この人たち……」
その声のせいか、それとも痛みのせいか、失いかけていた意識は徐々に戻っていき、ありったけの力をこめて僕は暴れました。
「っ離せ……!」
「コイツ…っ」
もう一度、ステッキのような鉄の棒で殴られる。先程より強い衝撃を頭に受け、流血が右目に入りました。
──……くそ…あたまが……ボーっと、……
薄れていく意識の中で、高尾君と紫原君が抵抗しているのが見えました。でも、黒スーツたちの数は多過ぎる。
ダメだ。逃げてください。
そう叫ぼうとしても、もうその気力はありません。
しかし、良いのか悪いのか次の瞬間、
僕は驚きで意識を取り戻しました。
「なんでさ……なんでこんなことするのさ、赤ちん!!!」
「…フッ……やはり敦にはわかるんだな。」
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