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赤司side
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「なぁ、敦。今日の練習なんだが………」
……………。
まただ。
ざわざわとする教室の中で僕は溜息をついた。
今日だけで四回だ。まだ午前中なのに、だ。
敦が僕の元を去ってからもう何日も経っている。いい加減慣れてもいい筈だ。
なのに、僕はまだ慣れていない。
毎日毎日、気がつくと敦に話しかけようとしている。
でも、敦はいない。
アイツは黒子の元へ行ったんだ。
もう僕の隣にはいないんだ。
今はもう既にない、僕の隣の、机があった筈の場所を見た。
敦はいつも、ここにいた。
甘味を食べるときも。
昼食を取るときも。
部活に行く時も。
いつも、僕の隣にいた。
嬉しいとか、そんな気持ちなど欠片もなかった。
ただ、そこにいるのが当然だと、当たり前だと思っていた。
離れる筈がないと。
今更だが、何故そのように考えていたのだろうか。
現に今、敦は隣にいないじゃないか。
「……くそっ……」
なんだか胸が痛い。皮膚ではなく、もっと奥の方。
不愉快だ。
なんなんだこれは。
こんなもの知らない。
欲しくない。
この痛みのせいで、この何日か頭が正常に働いていない。ろくに眠れてもいない。
何故?
邪魔だと思っても、いらないと口にしても、コレはなおらない。
確か、敦が居なくなってからずっとこの状態だ。
となると原因は敦?
………いや、違う。
アイツだ。
黒子だ。
アイツの所為ですべてがおかしくなったんだ。
となれば、どうすればいいかなど一目瞭然。
アイツを消せばいい。
アイツが居なくなれば、敦も戻ってくる。この痛みもなおるだろう。
「ねえねえ赤司君、今の話聞いたぁ?怖いよね……」
「ん?何の話だ?」
斜め隣の席の惟葉が怯えた顔でこちらを見ていた。
「さっきぃ、黒子君のクラスで黒子君が暴れたらしくてぇ、男子が全員怪我したらしいのぉ。教室中血だらけだってぇ。黒子君は紫原君と帰ったらしいよぉ。」
「黒子が…?」
ありえない。
アイツはそんな力持っていない筈。
いや、そんなことは今はいい。
やはりアイツはそういう奴だったんだ。
アイツは厄災だ。
ポケットから携帯を取り出して、番号を打つ。
「……僕だ。控えの奴等がいるだろう……ああ、そいつ等だ。今すぐ学校に寄越してくれ。…二台でいい。あと、今すぐ迎えに来てくれ。……ああ、頼んだ。」
携帯を閉じて前を向くと、惟葉が不思議そうな顔で見ていた。
「誰と電話ぁ?」
「家だよ。ちょっと用ができたから僕はこれで失礼するよ。じゃあね。」
「え?赤司く……」
人目も気にせず席を立ち、教室から出た。先生たちは黒子のクラスに集まっているらしく、学校を出るのは容易かった。
門には既に車が三台止まっている。一台は僕が乗る車だ。あとの二台は……
「今から言う住所に向かってくれ。黒子と言う奴の家だ。」
「かしこまりました。」
車が動き出し、残りの二台が後ろからついてくる。あの中には雇った用心棒が四人ずつ乗っている。黒子と敦だけでは流石に敵わないだろう。
僕は、静かな車の中で一人笑みを零した。
…………敦。
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