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素の姿
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「……ハハッ。」
惟葉さんが、乾いた笑いをもらした。思わず握っていた手に力を込めると、黄瀬君がギュッと握り返してくれた。
ただそれだけが、すごく嬉しかった。
「なんなのよ……。…よかったじゃない、仲直りできて。また昔みたいに仲良しこよしでもするのかしら?」
惟葉さんは随分と雰囲気が変わっていた。ギャルのような口調も、ワントーン高い声も、人に媚びるような目つきも何もない。ただの惟葉さんだった。
「私のこともバラす?…いいんじゃない?私の本性もバラして。可哀想なのはアンタ達。悪いのは全部私。これでハッピーエンドかしら?」
良く言えば隠すのをやめた。でも、これは自己放棄だ。
何故か僕は惟葉さんを憎めなくなった。
彼女にも彼女なりの意思があって、色んなことがあって今に至ったんだと思うと、負の感情より先に、それが知りたいと思っていた。
──彼女に嵌められたんだから、それくらい聞いてもいいですよね。うん。
「惟葉さん。」
「…何?」
「何故こういうことをしたのかを教えてください。」
「……なんで。」
「貴女に嵌められたんですから、それくらい聞いてもいいじゃないですか。」
彼女はしばらく黙ったままうつむいていたが、やがて諦めたように顔を上げボサボサになったギャル盛りの髪をとかし始めた。グチョグチョになったメイクも全部とって素の自分になった惟葉さんは、ビックリするほど綺麗だった。
「……メイクする必要とか、ないじゃないっスか。」
驚きながらもそう言った黄瀬君を、惟葉さんは鼻で笑った。
「これは私の盾だったのよ。素がどんな自分だったって関係ないの。」
やっぱり、何かあったんだ。
直感でそう思った。
「……話してくれるんですか?」
「いいわよ。巻き添えをくらった張本人なんだし。」
「俺はいいんスか?」
「アンタはついでよ。どうせソイツ(黒子)と一緒にいたいとか言い出すんでしょ?」
素の惟葉さんはとてもサッパリとしていて、口には出さなかったものの、こっちの方がいいのにと思いました。
そして、惟葉さんはポツリポツリと話し始めました。
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