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今度は。
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紫原君の電話を借りたらしい女の子と話をしていた時、僕はちょうどトイレから戻ってきた黄瀬君と一緒にいました。
電話をしながら青ざめたり焦ったりする僕を見て、同調するように不安になっていく黄瀬君。
やがて、会話が終わり電話を切ると、すぐさま黄瀬君が口を開きました。
「黒子っち、何かあったんスか?電話、なんか良くないことみたいだったっスけど。」
本気で心配してくれる黄瀬君に、ホッと心が暖かくなるのを感じたのと同時に、絶対に助けにいかなければと、どうすればいいのだろうかと思いました。
「友人を、助けに行かなければならなくなったんです。とても大切で、ずっと僕を支えてくれた優しい友人なんです。」
一人の時も、どんな時も。
ずっと僕を信じてくれたのは、いつも高尾君だったから。
彼が自分の中でどれだけ大きな存在になっているかは、痛いほどよくわかっています。
「ごめんなさい、黄瀬君。僕は行かなければいけません。」
「なら俺も──」
「ダメです。」
言いかけた黄瀬君の言葉を遮る。黄瀬君は、連れていけない。
だって怪我してしまうかもしれない。
バスケに大切なその足に。
仕事に大切なその綺麗な顔に。
もしかしたら、黄瀬君が狙われてしまうかもしれない。
それはダメだ。
これ以上、失いたくない。
一度失いかけたモノだけに、失うのが酷く怖く感じました。
それに、これは僕たちの問題だから、黄瀬君を巻き込むことはできない。
「ダメです。もし君が怪我なんかしてしまったら、僕は死ぬほど後悔します。試合だって、あるんでしょう?」
「それなら黒子っちもっ……っ!!」
ハッとして口を閉ざす黄瀬君。
そう、僕はもう試合には出れない。
出る資格なんてない。
「だから、君は待っててください。僕は、必ず帰ってきます。」
そしたら、「おかえり」って言ってくれませんか?
僕のその願いに、黄瀬君は強く頷いてくれました。
そんな黄瀬君の唇に重ねるだけのキスをして、僕は、紫原君の元へと走り出しました。
今度は、僕が。
あの時助けてくれた君を、今度は僕が。
きっと助ける。
助けてみせるから。
……待っててください。
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