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事実
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ドアを開けた先の教室には、空いている机がいくつかありました。
不思議に思いながら席に着くと、誰も僕の悪口を言っていないのにも気づきました。
こちらを見もしない……むしろなにかに怯えている姿を見て、やっと僕は理解しました。
──…ああ、僕がやったんでしたっけ。
ゴタゴタしていてすっかり忘れていましたが、そういえばクラスの男子数名をフルボッコにしたことを思い出しました。
「黒ちん、クラスがちょー静かなんだけど……」
まだ思い出していない紫原君が不思議そうに聞いてきたので、僕は彼の方を向いて小声で話しました。
「ほら、この間学校に行った時、僕がクラスの男子に手を出しちゃったじゃないですか。多分それで恐がっているんだと思います。」
納得、といったように何度も頷く紫原君。僕はそれを見ながら、とても奇妙な気持ちでいました。
確かあの時、僕は僕の暴力性に驚いていました。
こんなハズじゃないのにと、暴力を否定していました。
しかし、今は?
──何も、思わない。
むしろ当然だと思う僕がいました。
あれは起こって当然なことだと、暴力を肯定する僕がいました。
明らかに変わった僕。
変えたのは周りか、それとも自分か。
どっちにしろ、もう戻れないだけは不思議とわかりました。
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