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事実4
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左手での攻撃。
右手で抑える。
足元を崩そうとスライドキックをする。
それはギリギリでよけられた。
──やはり強い、ですね。
クラスメイトは逃げたのかいつの間にか居なくなっていて、被害を考えなくていいのは楽だった。
でも、障害物が多い。
あと、パンチが重い。
このままでは負ける、そう察し攻撃を避けるために間合いを取るように後ろに下がった。
しかし青峰君はそこで見逃してはくれなかった。
瞬時に前進され、一気に間合いを詰められる。
握られた右手が僕の顔に向かって伸びる。
殴られる──
「……グッ、……カハッ……」
次の瞬間、膝をついたのは青峰君で、立っていたのは僕だった。
「本当に……甘いですね。。」
だから負けた。
間合いを取るように下がったのはフェイク。
なぜなら、青峰君が間合いを詰めると確信していたから。
攻撃性の高い青峰君のことだから、そこで間合いを取らせるようなことはしない。それが僕なら尚更。
『自分より弱い相手に引くことなんてない。』
きっとそう思ったはず。
それが仇となった。
青峰君が間合いを詰めた瞬間、僕は一気に前進して青峰君の腹にパンチとキックを入れた。パンチは肺を狙って。
パンチがヒットしたので、うまく息ができないはず。そしてその状態で続けるのは非常に困難。
僕は赤司君の方へゆっくりと戻りました。
「……赤司君は直接手を出さないんですね。なぜですか?」
まさか僕が勝つとは思わなかったのか、呆然とする赤司君。しかし、僕の問いにハッとして不敵に笑いました。
「相手をするまでもないからに決まっているだろう?」
「でも実際はまだ僕に勝ててすらいませんね?」
不敵な笑い。でもその笑いはぎこちない。少しつつけばボロが出てしまうほど。
「相手をするまでもない?この状況でもそう言えますか?素直に言ってもいいですよ、今の僕には勝てない、と。」
カッと怒るのだと思っていました。そんなわけ無いだろうと否定するのだと思っていました。
しかし、現実は違いました。赤司君は怖いほど静かになり、冷たい目で僕を見据えました。
「……随分と生意気な口を叩くようになったんだね。…少し、躾が必要なようだ。」
ぞわっ。
背筋が震え、本能が逃げろと告げる。しかし体は動かず、僕は赤司君が携帯を取り出して何か操作するのを見ていることしかできませんでした。
「確かに僕は、物理的な力では大輝にも敵わないだろう。」
パタン、と携帯を閉じる音がやけに大きく響きました。
「しかし他の力なら?権力、精神力、支配力。それらでも勝てないと?」
ガラ、と教室の前のドアが開き、そこから見覚えのある黒スーツが十人ほど入ってきました。
「それはない。僕の勝利は絶対だ。」
不敵に笑う。今度の笑いはぎこちなくなんてない。完璧な笑い。
「黒ちん、これはやばいやつ?」
隣の紫原君が、いつもあまり見せない笑顔で聞いてきました。しかしその笑顔はぎこちなく、つられるように僕も同じ顔をしました。
「そうですね……結構やばい感じです。」
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