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逃げる
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校門を出て人通りの多い道を選んでさらに走り続け、とりあえず僕たちは紫原君の家に入りました。
「ハァー……黒ちんだいじょーぶ?随分走ったけど…」
「ハァ……ハァ……ハァ……ハゲホッゲホッ……ハァ……」
答えるまでもなく、大丈夫ではありません。
元々体力など皆無に等しい僕。喧嘩が少し出来るようになったからといって、体力まで上がるわけがありませんでした。
玄関に座り込み、呼吸と咳を繰り返す僕に、もう回復したらしい紫原君が水をくれましたが、それを飲む力すらありません。
数分ほどその状態が続き、やっと少しは動けるようになったので玄関から奥に入りました。
「黒ちん、水いる?」
「ハァ……いります。」
もらった水を一気飲みして盛大にむせた後、当然これからのことについて話し合いました。
「ここにいてもすぐにバレるよね〜。となると俺の家も黒ちんの家もダメかぁ…」
「高尾君も一度会っているので調べられたら終わりです。むしろ、もう調べてあるかもしれませんし。」
これぞ、八方塞がり。
「「ハァ……」」
軽い沈黙が流れ、紫原君がお菓子を食べ始めました。
考えて、考えて、考え抜いてもいい方法は見つかりません。
その代わりに、あまりいいとは言えない方法なら一つ見つかりました。
「……紫原君、今吉さんと花宮さんに連絡してみますか…?」
唯一思いついたことを口に出すと、面倒くさいという顔をした紫原君の顔がみるみるうちに元気になっていきました。
──なんか、死にかけの花に水をあげたらこうなりそうですね。
「うん、しよっか〜。連絡。」
携帯を取り出して今吉さんに電話をかけます。何コールか鳴った後、ピッと電話がつながる音がしました。
「…あ、もしもし、黒子です。今よ……し……さ…」
口から出るはずだった言葉は音を持たずにポロポロと落ちていきました。
だって、電話の向こうは。
向こうは……
『ちょ、テメッ、ざけんな今吉!!電話出てんだろバァカ!!!………っわ、あ、ちょ、マジで、やめろっつてんだよボケナス!』
一体電話の向こうで何が行われているのでしょうか。
あまりの驚きに携帯を落とすと、それを拾った紫原君が携帯を耳にあて、また落としました。
「……何、やってんだろ〜ね……」
「…………………」
この人たちは駄目だと携帯を拾い通話を切ろうとした時、電話の向こうから『冗談やで。』と声がしました。
『驚かそ思ってな。まさかそんな驚くとは思わんかったんよ。』
──違う。絶対冗談じゃなかったですよあれは。
口には出しませんでしたが、紫原君も同じ顔をしていました。
そして。
『てめぇは確信犯だろーが。バァカ!』
花宮さんも同じ意見でした。
『すまん言うとるやん。な?真。』
『うっせぇクズ!』
『酷いのぉ……まあええわ。黒子クン、どないしたん?』
やっと本題には入れそうです。
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