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逃げる2
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「実は、いろいろ困ったことになっているんです。」
『なんや、困ったこと?』
赤司君と青峰君のことを話そうと口を開いた時、そういえば惟葉さんや緑間君、黄瀬君とは話がついたことを言い忘れていたのを思い出しました。
「はい。あとその前に、いろいろあって惟葉さんと仲直りできました。」
そういうと、電話越しの声が一際明るくなった気がしました。
『そうなん?おめでとうさん。詳しく話してくれたら嬉しいんやけど。』
僕が暴走しかけたことは省き、惟葉さん、黄瀬君、緑間君のことを順に話していきます。本当に凄いタイミングだったなと、改めて思いました。
『……なるほどな。仲直りできて良かったやん。…で、次は何に困っとるん?』
「はい。それで、来週の全校集会で惟葉さんが皆さんに本当のことを言うんですけど、それを知らない赤司君と青峰君に少々狙われていまして。僕的には惟葉さんの口から真実を告げて欲しいので、全校集会の日までどうにかして逃げなければならないんです。」
『ほうほう。んで、ワシらに何をして欲しいんや?』
──それはもちろん。
「なにかアドバイスをくれませんか?僕たちも考えたんですけど、なかなかいい案が思いつかなくて。」
うーん、と聞こえる唸り声。
『ちょお待ってな。……花宮、どう思う?』
『どうって………………』
『せやけど、………………』
『………………』
『………………』
聞き取れはしませんてしたが、何やら話し合う声。しばらくして結論か出たのか、今度は花宮さんが電話に出ました。
『あー、もしもし、テツヤ?』
「はい。花宮さんですか?」
『ああ。結論から言うが、お前ら二人とも俺ん家来るか?』
──は?
スピーカーにしているので紫原君も聞こえる中、二人で呆然とするしかできませんてした。
「…え…は?」
突然の申し出に困惑すると、電話から花宮さんの笑い声が聞こえました。
『ふはっ、ダセェ声。』
「いや、そんなこと言われてもさ〜、今日いきなり?俺たちは助かるけど、花宮さんの家はいいの〜?」
紫原君の意見に賛成するように頷き、電話しているので頷いても分からないと気づいて「僕も同じ意見です。」と言い直しました。
『あー、そこらへんは気にすんな。俺の家空き部屋いくつかあるから。』
あ、そうなの〜?と隣からのんびりとした声が聞こえてきましたが、僕はそんなすぐには納得できませんでした。
「そ、それでも、今日いきなりお邪魔するのはどうかと……僕の家に泊まった時は親もいませんでしたけど…」
『あー、それなぁ…….』
突然今吉さんの声が聞こえてきて、相手が入れ替わったのがわかりました。
『花宮も、親御さん遅くまで帰ってきいひんのや。それに、家も豪邸並みに大きいさかい、遠慮することないで。ちなみにワシも今日は泊まらせてもらうで。』
少し事情があるのだと察し、それではお言葉に甘えて花宮さんの家に全校集会の日まで泊まらせてもらうことになりました。
「あ、でも僕たち花宮さんの家の場所がわかりませんよ?」
『迎えをよこすから、準備できたら連絡しろ。いいな?』
申し訳ないと思いながらも迎えを頼み、僕は急いで家に帰りました。そこから着替えて荷物を詰め、再び紫原君のところに戻った時、紫原君は意外にも着替えて用意も済ませて待っていました。
「紫原君にしては早いですね。」
「ん〜。あんまり荷物ないからね〜。」
と言いつつも僕より大きいバッグ。
しかし、そんなことを言っておきながら僕が確認すると多数の忘れ物が見つかりました。歯ブラシ、制服、靴下、寝巻き……
「その大きなバッグには何が入っているんですか……」
「お菓子〜?」
なんとなくわかっていた答えにため息をつきながら、僕は花宮さんに連絡しました。
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