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驚愕
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花宮さんに連絡して十数分後。紫原君の家の前には黒くリムジンのように長い車が止まっていました。
──というかこれ、リムジンですよね。
運転手の方はまさにプロという雰囲気の人で、すっかり白くなっている髪をワックスでまとめて後ろに流していました。
「黒子様と紫原様ですね。花宮様からお話は伺っております。どうぞお入りください。」
丁寧に開けられるドア。すみませんと一言伝え乗り込むと、荷物も素早く積んてくれました。
フカフカ過ぎるソファに座りしばらくすると、車が動き出しました。無駄の無い滑るような走りなのに、こちらを気づかってくれているのかたまに口を開いては面白い話をしてくれました。
それでも、笑う顔はどこかぎこちなく、緊張も全く取れませんでした。
そんな空気の中にいることおよそ十数分。ゆっくりと車が止まり、着いたのかと覗いた窓の外には。
「……豪邸、ですね。」
きらびやか、というよりとてもセンスのある、シックな豪邸がそこにありました。
正門から家の玄関扉まで百メートルほどある庭は、飾りすぎず、かといって質素過ぎず。
完全に行き届いた手入れで、より一層美しく見えました。
「花宮さんじゃなくて、花宮様って呼ばなきゃだめかな〜…」
そんなことを言う紫原君に、つい頷いて窓の外を凝視し続ける僕たち。
音を一切立てず開く門を通り、家の玄関扉のところで止まった車から降り、荷物を運転手の人から受け取ると、扉が開いて花宮さんが出てきました。
それと同時に運転手の人は車に乗ってどこかに(おそらく駐車場に)去っていき、僕たちは花宮さんと一緒に豪邸の中に足を踏み入れました。
外から見ても凄かった豪邸は、内装も同じくらいすごいものでした。
外と同じようにシックな色使い。
工夫された柱や壁のデザイン。
開放感のある間取り。
そして、
何故だか微笑みを絶やさない花宮さん。
「あの、花宮さん。今吉さんは?」
その疑問はら敢えて聞かずに他の質問をすると、微笑んだまま少しだけ振り返る花宮さん。
「ああ、彼は上にいるよ。今から君たちを案内しようと思ってたんだ。」
ぞわっ。
花宮さんのキャラが違う理由は、彼が猫かぶりで、普段家でもこのキャラで通しているからでしょう。
だから、僕たちがここにいるからと言ってキャラを崩すわけにはいかないのでしょう。
だけど。
それでも……!
──鳥肌モノですね…!
思わず腕をさすると、隣で紫原君が「うえっ」と小さく漏らしているのが聞こえました。
そのまましばらく歩くと、一つの扉の前で花宮さんが止まり、ノックもしないで扉をあけました。
「あ、今吉さん。」
「お、よう来たなぁ。」
すると、僕たちが入ったことを確認して、花宮さんが、扉を閉め、さらに鍵もかけました。
「ああ、花宮はな、この家じゃあ鍵までかけんと安心できんのやと。」
僕の疑問を察した今吉さんがそう答えてくれたのと、花宮さんが長いため息をついたのはほぼ同時でした。
「あ〜〜。」
「お疲れさん、花宮。」
「うっせ。」
ガシガシと頭を掻きながらこちらに向かってくる花宮さんにいつもどおりだと安心しながら、僕は適当な場所に荷物を置きました。
「それにしても、猫かぶっている時の花宮さんてあんな感じなんですね。何と言うか、本性を知っていると寒気がします。」
「俺も〜。思わずうえって言っちゃったし。」
僕たちの感想に、今吉さんは爆笑していました。
「てめぇらナメてんのか?」
花宮さんはこのとおりご立腹でした。
その後、僕たちは別々の部屋に案内され、ふと思い出してそれを高尾君に連絡しました。
すると、当然の如く高尾君も泊まりたいと言い、僕たちと同じようにリムジンでこの豪邸まで送られ、花宮さんに迎えられて(部屋は僕と同じでした)部屋の中でしばらくずっと笑っていました。
笑い過ぎて花宮さんに殴られてもまだ笑っていた高尾君は、夜、面白いほどにぐっすり寝ていました。
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