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火曜日2
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教室に入り、自席に座ります。いつものように静かなクラスは、緊張のせいか余計静かに思えました。
「紫原君、ちょっと僕、トイレに行ってきます。」
そう言い残し席を立ち、廊下にあるトイレに逃げ込みました。
そのまま個室に入り、特に何も出ませんが便器に座りました。
胸に手を当てると、いつもより少し早めの鼓動が伝わり、深呼吸を繰り返しながら少しずつ元に戻していきました。
と、ポケットから振動が伝わり、何だろうと携帯を開くとメールが入っていました。
『 校門で待っている。
もう一度話し合おう。 』
差出人は赤司君。
もちろん明らかに嘘だとわかります。
──気にしちゃダメだ……信じてはいけない……
そんなことは分かっていました。
分かっていたんです。
それでも。
僕は、一度でも仲間だった彼を信じたいと思ってしまいました。
静かに携帯を閉じ、僕はトイレを後にしました。
紫原君にも何も伝えないまま、校門へと向かいます。校門には赤司君が一人で僕を待っていました。
「やはり来たな。黒子……いや、テツヤ。」
「赤司君……」
少し落ち着いた雰囲気を纏う赤司君に少し違和感を抱きつつ、それでも赤司君が下の名前で呼んでくれたことを嬉しく思いました。
しかし、その喜びは数秒も保たれませんでした。
校門の影から現れる複数人の黒スーツ。
その人たちはあっという間に僕を取り囲み、僕の両腕を拘束しました。
「…やっぱり、嘘だったんですね。」
予想出来たことでも、現実に起きるとかなりのショックを受けました。
「テツヤ、お前には本当にがっかりしたよ。こんな奴だったのか、と怒りも湧いた。」
そこで一度言葉を切り、何故か赤司君は少し笑いました。
「だが、思い直したんだ。元々、こういう奴だったとな。僕は君を過剰評価していたんだ。……そして、こう思ったんだ。」
一瞬。
──赤司君の、目が……
黄色く、光った気がしました。
「お前がいなければ、いなくなれば、全てが上手くいく。これは確信だ。」
その瞬間、僕は一気に力を入れて両腕の拘束を振り解きました。そのまま全速力で学校の外へと走り出し、必死に赤司君たちから逃げました。
もちろんすぐに追いかけられ、僕の体力で叶わないことはすぐに分かりました。
なので、なんとか惟葉さんを追いかけた路地へと入り、頭の中の地図を思い出しつつわざと入りくねった選んで走りました。
中には知っていないと分からないような道もあり、それらを駆使してなんとか追手を撒くことができました。
すぐに携帯を取り出し、紫原君に連絡します。おそらく授業中だったのにも関わらず、紫原君はすぐに出てくれました。
『黒ちん!?今どこ?』
「す…ませ……かし君に呼ばれて……ダメだって、分かってたんですけど…………やっぱり…………」
口に出したことでさらに現実だと思い知らされ、思わず涙が出てきました。
「今、外にいます……黒スーツの人…から……逃げてて…」
『どこ!?』
いつもと全く違う紫原君の口調にすら気づけず、さらに、向こうから聞こえる足音にも気づけませんでした。
「いと、さんに連絡してくだ、さい……ペンのスイッチ、押しておきます……」
と、そこに突然黒スーツの人たちが現れ、僕は携帯を奪われ拘束されました。
直後、頭に衝撃を感じ、ペンのスイッチを押す前に僕は気を失いました。
最後に見えたのは、微笑む赤司君とその黄色い目でした。
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