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黄瀬side
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『中学生男子が倉庫の木材に下敷きにされ重症!出血が酷く、特に──……』
緊迫した中紡がれるその言葉を、俺は最後まで聞き取れなかった。
多分、みんなも同じだと思う。
緑間っちを庇って、黒子っちは木材の下敷きになった。
急いでみんなで木材をどかした時には、黒子っちの周りに血だまりが広がり始めていた。
伊東さんって人が救急車を呼んでくれたらしく、そのあと十分くらいして救急車が到着した。
でもその頃には血だまりがかなり広がっていて、それを見た救急隊員の人たちも深刻さにサッと青ざめていた。
そして今。
隊員の人は必死に応急処置をしながら状態を報告している。
正直、信じられない。
血でほとんど赤くなった制服も水色の髪も、
悪すぎる顔色も、
その顔色がさらに悪くなっていっているのも、
全部。
信じられない。
信じたくない。
黒子っちって何度も名前を呼んだけど、掠れすぎて聞こえてないのか、黒子っちは一度も返事をしなかった。
なんで。
やっと仲直りできたのに。
これからデートもいっぱいして、キスもして、その先も………
おかしいな。
いつもならこの辺で罵声が降ってくるのに、今日は何もないや。
担架に乗せられる黒子っちを呆然と見る。
黒子っち、いいんスか?
もっと沢山言うっスよ?俺。
黒子っちが真っ赤になるような恥ずかしいことも、全部言うっスよ?
ねえ………
…ごめん、黒子っち。
言わないから。
そんなこと言わないから。
だから、
お願いだから起きて。
そんな願いも虚しく、黒子っちは救急車に乗せられてどこかに連れていかれた。
……お願いだから、置いていかないで。
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