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復帰
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僕の目が覚めた次の日、知らせを受けた花宮さんと今吉さん、伊東さんがお見舞いに来てくれました。
「よぉ、テツヤ。目、覚めたんだってな。」
「はい。」
「黒子クン、もう起き上がって平気なん?」
「はい。」
「目が覚めたと聞いて本当に安心しました。もう他の方にご連絡は?」
「一応全員に知らせは済みました。心配してくれてありがとうございます。」
((なんか対応違くね?))
各自と話し合い、ようやく話したいことを話しきったあと、やたらニコニコする花宮さんと今吉さんに気づきました。
「……?どうしたんですか?」
聞いてみてもニヤニヤとゲス顔をするだけの二人にさらに疑問を増やしていると、伊東さんが華やかすぎる笑顔で口を開きました。
「リハビリが必要と聞き、お力添えをしようと思ったのですが、私でよければ如何でしょうか?実は、介護関係、看護関係のことは少々学んだことがありまして……」
正直、かなり有難いことだと思いました。知識のある知り合いが手伝ってくれるのは頼れますし、僕はすぐに手伝いを頼みました。
「伊東さんがよろしければぜひお願いします。」
「尽力させていただきます。」
この時僕は、ただ普通に有難いとだけ思っていました。
数時間後。
「ゼェ…ゼェ…伊東、さん……少し休みませんか…?」
「そうですね。では五分休憩を取りましょう。どうぞ、氷水です。」
──マジですか……
伊東さんの想像以上の鬼畜っぷりに僕はかなり疲弊していました。
あの会話のあと、すぐにリハビリが始まり、まずは部屋の中を歩けるようにと立ち上がりドアまで行くことから始めました。
それから優しいながらも一切遠慮のないアドバイスを受け続け、休憩も必要最低限のみ取り、なんとか歩けるようにはなりましたが、既に僕の体は激しい筋肉痛を訴えていました。
「まだ筋肉痛になっていない部分が幾つかあります。そこを刺激しましたら今日のリハビリは終了に致しましょう。」
そして、今に至ります。
「残るはあと少しです。さ、頑張りましょう。」
その後もリハビリは続き、それが終わった頃には僕は立ち上がることすらできませんでした。
花宮さんと今吉さんがニヤニヤとゲス顔していた理由をこれでもかというほど痛感しました。
しかし、その厳しすぎるリハビリのおかげか、四日後には元のように歩けるようになっていました。
もともとあまり筋肉もないので、そこまでリハビリしなくてもよかったのも理由の一つです。
「…色々、ありがとうございました。」
「いえ、またいつでも仰ってくださればお手伝い致します。」
──もう絶対入院はしませんけどね。
「テっちゃん明日から学校行くの?」
今日もお見舞いに来てくれていた高尾君がベッドに乗りながら聞いてきたので、軽くベッドから落としながら答えました。
「はい。できるだけ早く行きたいですし。」
僕の目が覚めてから、黄瀬君はみるみる元気になり、同時に心配されてあまり入っていなかった仕事もかなり増えました。
そのため、あまりお見舞いに来れなくなり、学校で会うしかなくなったのです。
僕が伊東さんの辛いリハビリに耐えた理由もそこにありました。
「そっか。じゃあ紫原によろしくな。」
「あ、はい。」
その後、高尾君と伊東さんは用事があると帰途につき、僕は久しぶりに一人の時間を過ごしました。
携帯で紫原君に明日行くと連絡をし、筋肉痛を癒すために睡眠を取ることにしました。
明日から学校に復帰できると思うと、正直複雑な感情があります。
紫原君から聞いて既に僕の無実は証明されていますが、あの辛い日々の記憶が消えたわけでもなく。
むしろ、学校に行っていなかったからこそ鮮明に思い浮かびます。
それでも、僕は嬉しい方が圧倒的に強く、僕は楽しみにしながら眠りにつきました。
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