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初めての恋に破れた日。
初めて、キスをされた。
しかも…男に。
そしてそれだけに留まらず…その…なんというか…
普通の男子ではまず有り得ないような展開で…
つまり…
悶々。
学校でのあの、短時間なのにやたらと濃度の濃い時間。
あのあとの記憶が全くないのに…
気が付くと俺は住まう寮の自室のベッドの上に横になっていた。
しかもちゃんと風呂に入り髪をドライヤーで乾かした状態で。
それをした記憶はないのに…
俺に色々なエロいことをした挙げ句、言いたいことを言って且つ、その返事を強要して去って行ったヤツの無駄に爽やかな笑顔とその後ろ姿だけは鮮明に覚えていた。
今まで一番近しいと思っていたヤツのそんな行動に少なからず…いや、だいぶ動揺している自分がいる。
「全く…どうしてくれるんだよ…」
溜め息交じりに呟いてベッドの上で小さく丸まる。
目を閉じて……
その脳裏に浮かぶのはさっきのあの、コト。
背後からのヤツの声、息づかい…そして、デカい手。
熱い吐息と共に俺の名を呼ぶいつもより甘い、優しい声。
器用に動き回る手、長い指…。
それが容赦なく遠慮なく俺に絡まり…
俺は抵抗もせずただただその全てに翻弄されていた。
「…なんで……抵抗しなかったんだ?」
『あつし…』
思い出してもぞわりとする。
しかもその“ぞわり”は…嫌悪の方ではなくむしろ…。
「くそ…杉谷のくせに…」
耳の奥に…ヤツの声がまだ残ってるような変な感覚。
身体中に…まだヤツの指が絡んでいるような…そんな…。
伸ばした手で股間に触れてみる。
するとそこは…なぜか硬く張り詰めていて。
「アイツ…俺になにしたんだよ…」
低く呟きながら俺は…
自分の右手をスウェットの中の…下着の中に滑り込ませた。
完勃ちのアレを緩く握りゆっくりと上下に動かす。
先端からの先走りが溢れて滑りはいいのに……
「キモチ、よく…」
…ない。
さっきのあの…
ヤツにされたのは物凄くキモチよかったのに…。
思いながらハッとして行為をやめて手を引き出す。
俺…
なにしてんの!?
今の今までやってたことを思い出してカッと顔が熱くなる。
俺…なんでアイツを想いながら…
こんな…
急に恥ずかしくなって布団に顔を埋め自分の耳を掌で覆う。
なのにまだ俺の全てはヤツ・杉谷に囚われたままだった。
◇◆◇◆◇◆◇
結局。
あれから俺はひたすら布団の上をゴロゴロと転がり続け一睡もできないまま朝を迎えた。
疲労感が抜けない身体を無理矢理引き起こしてベッドを降りる。
足元がぐらりと揺れてるのは…きっと寝てないからだろう。
「…これは…ちょっとまずいかな…」
小高い山の上に立つ寮を出て坂道を下りながら何度かこけそうになり、さすがに不安を感じた俺は学校に到着すると教室には行かずに真っ直ぐ医務室に向かった。
その間もやはり足元がおぼつかなくて…。
向かっていた医務室に辿り着く寸前で力尽きた俺はよろめいたはずみでその場にへたり込んでしまった。
「おい、大丈夫か?」
かけられた声に顔を上げればそこには保健医の千影センセイが立っていて。
慌てて立ち上がろうにも身体に力が入らず目の前の壁に手を添えた俺はそのままの体勢で彼に苦笑いを向けた。
「…大丈夫じゃなさそうだな。」
「す…すいません…」
差し伸べられた手を握り引かれながら立ち上がる。
そのままの勢いで医務室の奥にあるベッドまで連れていかれ一番手前のそこに腰かけて。
「お前…確か二年二組の浜野淳、だっだたな?」
「え?あ、はい…」
センセイからの事情聴取が始まった。
「……夕べ一睡もしてない?勉強も程々にしとけよ…」
「…………はい。」
こんなフラフラになった原因。
アイツにされたことを思い出して悶々としてました…とか。
まさかそうとも言えずに…少々捏造込みで報告。
「しょうがねぇなぁ。一時間だけベッド貸してやるけど二時間目はちゃんと授業出ろよ?それでも無理そうなら担任に言って帰って寝てろよ?」
「すいません。助かります。」
上履きを脱いでベッドに入り目を閉じる。
そこを囲むカーテンが閉められて…静寂が訪れて…。
「あ、浜野。俺ちょっと職員室に用あっていくからなんかあったら内線かけて?後続来ないようにドアに鍵かけていくから…隣にいる奴と小一時間、大人しくしててくれな。」
「はい……えっ?」
“隣にいる奴”?
いきなり言われてびっくりする。
俺だけじゃなかったんだ?
パカリと目を開けて隣のベッドとの境のカーテンをみつめる。
「…そういえば言ってなかったな?隣に野球部の朝練でぶっ倒れた奴がいるから…そいつと仲良く寝ててくれ。」
「……野球部…」
まさか……ね?
起き上がって隣のカーテンをガン見。
その間に医務室の引き戸が開き、閉まる音がして…
カチャリと鍵のかかる音がした。
「まさか…とは思うけど…」
誰にともなく呟きゆっくりと立ち上がり…
手をかけたカーテンをホンの少しだけ開けて…隣のベッドを見る、と…。
「……なんで。」
そこには…
まさかのアイツが横たわっていた。
声が出そうになって慌てて口を掌で押さえる。
『…危ない危ない…』
ゆっくりとカーテンを戻して後ずさり今まで横になってたベッドに腰かける。
…さて。
困ったな…。
腕を組んで考える。
…けど、今のこの流れだと勝手に此処を出るわけにはいかないし…。
うーん…
と悩んで顔を上げると…。
「!」
閉めたカーテンの合わせの隙間からヤツ…
杉谷が顔を出していた。
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