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『好奇心。』
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「今日はさ…廊下でキスしてる奴ら見た。」
俺のベッドに座って微妙な微妙な顔をする香月を見つめる。
「なんてゆーか…見慣れると平気になるもんだよなぁ。」
呟きのような言葉と共にその視線は元あった手元に戻り、何事もなかったかのように漫画のページをめくり始める。
そんなマイペースな幼なじみを見ながら俺も黙って漫画の続きに視線を落とした。
俺とコイツは同じ日に同じ病院で生まれ、ついでに親同士も仲が良くて…と当然ながらなるであろう兄弟同然に育った幼なじみ。
性格は真逆だけどそれが心地良くて…その付き合いはザッと十六年程になる。
そして今年、俺達は揃って地元の私立高校に入学した…のだが。
そこは男子高で…しかもソッチの世界ではなかなか名の知れた上玉が揃うレベルのホモ高だったらしい。
お陰で校内のホモ率の高い事!
二年にはかなり有名な美形揃いのチームまであるらしい。
んで、ノーマルな俺とこの香月は…そんな輩を見掛ける度こんな話をしているのだ。
◇◆◇◆◇
「…でもさぁ。」
読んでいた漫画をパタンと閉じて香月が真っ直ぐ俺を見る。
「なんだよ。」
俺は一瞬だけヤツに視線を向けてまた読み掛けのトコに戻す。
「男同士のセックスって…ケツの穴でやんだろ?」
…と、イキナリの発言に苦笑い。
「…知らねぇよ。」
「あれ?棗なら知ってると思ってたのに。」
キョトンとする顔を見ながら溜め息を吐いて。
「なんで俺がヤロー同士のセックスを知ってなきゃならんの。」
「だってお前さっき告られてたじゃん。」
ギクッ。
痛いトコ突きやがる。
確かに…さっき隣のクラスのヤツに告られはしたが…。
「だから知ってるってか?」
「そう思ってた。寧ろとっくに経験済みかと…」
「あのな。」
パタン。
読み途中の漫画を閉じて机に置き、香月の座るベッド脇に移動して。
「確かに手は早ぇが男とはやらんて。」
そう言うと…なぜだか香月はホッとしたような顔付きで緩く笑った。
ベッドに座ってる香月の隣に腰を下ろしヤツが読んでる漫画を覗き込む。
ふわ…
…と、その首筋からいい匂いがして思わず鼻を近付けた。
「なんだよ。」
「ん…香月なんかいい匂いがする。」
するとヤツはクンクンと自分のシャツやらネクタイやらの匂いを嗅いで。
「由香のボディソープかな?」
そう言ってまた視線を漫画に戻した。
俺はと言えば…話が終わったってのに視線はまだ香月の首筋から外せないでいる。
なんだ…この感じ。
もしかして俺…香月にムラムラしてんのか?
知らずに早くなる鼓動。
身体の芯から沸き上がってくるような…欲望。
「香月。」
大事な兄弟同然の幼なじみの名を呼び俺は…気が付くとその身体を無意識の内に押し倒していた。
「…重いよ。」
男に押し倒されてんのになんでコイツは無抵抗なんだ?
ていうか…相変わらずの飄々具合で。
「これ、久遠から借りた本だから読んじゃわないと…」
呆れた顔して俺の手を外し身体を起こそうとする香月。
俺はヤツを抑えつけてる腕に力を込めた。
「なつ…冗談キツ…」
「ヤロー同士のセックスってケツの穴使うんだっけか?」
そう言った瞬間、組み敷いた香月の身体が固まる。
「俺もさ、興味あんだよな。」
見開いた香月の黒い瞳に自分のニヤついた顔が写り思わず苦笑い。
「香月…」
呼び慣れた名前を緊張気味に呼んで…その細い身体を壊さないように抱き締めた。
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