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薄暗い部屋の中…ベッドに座って腕を組んで、正面に正座してるヤツを見据える。
今のこの状況は。
学校を出て家に帰ってきたところで棗に追い着かれ、玄関先での押し問答の果てにご近所さんに見られてしまうからということで俺の部屋に移動をした、というとこ。
いつもならこんな時でも棗は力押しで俺に言うことをきかせるくらいな強引さをみせるけど…さすがに今は“借りてきた猫”状態。
当たり前だよな…
告白を断った俺に強引に…なんてした日にはさすがのこの温厚な俺だってブチ切れちゃうもん。
だから…こうやって反省の正座をしてる棗を見下ろしてるわけだけど。
…てかいつまでこうしてるつもりなんだろ?
多分余裕で三十分は経ってると思う。
だけど俺も棗も未だこうして同じポーズのまま。
棗は足、痺れないのかな?
そう思ってると…ヤツは限界に達したのか手を後ろに伸ばして爪先をさすった。
「…いつまで正座してんのさ。」
「香月が付き合ってくれるまで。」
「はあ?別にいつもみたいに強引にすりゃいいじゃん。」
「しないよ。もう。」
俺の顔を見ずに返して足をポンポンと叩く仕草になんだかイジメてるような嫌な気持ちになる。
…今更でしょ。
そう思ったところで…今までずっと棗を甘やかし続けてきた自分にも責任はあるよな?ては、思うけど。
万が一ここで付き合うってことになってまた同じようなことになるのは嫌だから。
…ってどっちかというとまだ棗を信用できない自分が大半だ。
それをどうやってヤツに伝えればいいのか…。
俺のだんまりをどう思ったのか棗はグッと顔を上げてから深く息をはいて。
「どうすればいい?」
と、聞いてきた。
「『どうすればいい?』…とは?」
「だから…どうすれば俺と付き合ってくれる?」
「…だからヤだって言ってんじゃん!」
さっきからこんな調子で話が先に進まない。
…仕方ない。
やっぱり説明するしかないか。
「…仮に棗と付き合うとして…今までのことがあるから俺はきっと棗を信用できないよ。」
「大事にする!」
「だからそれを…」
「俺はずっと香月が大事だからそれは変わらない。」
「だから…」
“大事”っていうヤツにそう大事にされてないと思ってしまう俺。
きっと棗が思う“大事にしてる”と俺が思う“大事にされてる”が違い過ぎるんだな…と思って。
「…難しいな。」
そう言って俺は溜め息をついた。
「香月は深く考え過ぎなんだよ。」
「……は?」
俺の悩みを違う意味で吹き飛ばすようなヤツのセリフにイラッとする。
ヤツを見れば…さっきまでのしょげてる様子はすっかりどこかに行ってしまったようで。
「俺は香月を大事にする。だから香月は俺の側にいればいい。」
「…なにそれ棗、ケンカ売ってんの?」
「勝てるケンカはしない。」
そういって力こぶを見せるヤツに思いっきりデカい溜め息を聞かせてやった。
…全く。
コイツはなんでいつもこうなんだろ。
変なところ自信満々で変なところ繊細で。
ガンガンいくかと思えば立ち止まってウロウロしたり。
なんてアンバランスなんだろ。
真っ直ぐに俺を見て視線を逸らさない棗。
まあ…いつだってこんなヤツに引っ張られて付き合わされてここまできたんだし…。
どこか諦めにもにた感情が心を占める。
深く息をはいて天井を見上げる。
ゆっくりと下した視線を…
棗に向けて。
「…大事にされてないと思ったらすぐに別れるからな。」
そう、言った。
すると薄暗がりでもわかるくらいに破顔した棗は立ち上が…ろうとして、足が痺れてるからかまともに歩けず俺に倒れ掛かってきた。
それを抱き止めてやると棗はそれはそれは嬉しそうに笑ってみつめてきて。
「やっぱ香月だな。」
と、謎の言葉をよこして唇にキスをしてきた。
そのままベッドに押し倒されてキスの嵐を受ける。
唇に、頬に、瞼にキスをしたヤツの唇は遠慮がちに首筋に下りてクッと皮膚を吸い上げた。
「なにしてんの。」
「キスマーク。俺のっていうシルシ。」
「バカか…そんな恋人同士みたいな…」
「恋人になったじゃん、今。」
ふふっと笑いながら俺の制服を脱がせ始めるヤツに飽きれてしまう。
たった今解禁になったばっかでヤりたがるとかマジどんだけ。
そう…思っても。
「香月…好きだ、香月…」
俺の名を呼びながら身体を貪るヤツを許してしまう自分がいる。
この先もきっと、思ってる以上に色々大変かもしれないけど…棗との腐れ縁はどうやら切っても切れないみたいだから。
「まだ…俺は好きかわかんないよ…」
そう返して…いつもより優しく開かれた入口からの侵入を許し、俺だけの暴君の熱い熱いネツを受け入れた。
END/2017.3.19.
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