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2 ,体罰の始まり
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《キヨside》
最近、顧問に殴られることが多くなった。
「言ったこともできないのか」「役立たず」「辞めちまえ」と罵られながら、殴られる。
…同級生の中で、特に俺に対してだけ。
「ッう゛……すみませ」
先「あ?聞こえねーよ!!」
「すみません…!…い゛ッ…ぅ…」
先「何?痛い?お前がミスったからだろーが!」
高一の俺にとって、大人の男の殴りはかなり痛い。
殴られる度に頭が一瞬ぐわんと揺れる。腹は痣だらけだ。
先「はぁ…もういいから。次ミスったらどうなるかわかるな?」
「はいっ…」
顧問はため息をついてこの場を離れる。
俺は立っていられずに、その場に座り込む。
『な、なあ…大丈夫か…?』
サッカー部の同級生が俺の背中に手を当てる。
「だ、いじょぶ…ごめん、俺が悪いから…」
『いやお前上手いよ!!俺らなんてもっと失敗してんのに、怒鳴られて終わりだし…キヨだけ…』
心配してくれてるんだ。
…俺が、悪いのに。
殴られて当然なんだ。
そうこうしているうちに、部活終了の時間になった。
今は6月で、辺りがもう暗い。毎日毎日、遅くまで…練習して、殴られて…。
痣だらけの腹を抱えながら、自転車に乗ろうとしていたとき、聞きなれた声が聞こえた。
牛「キヨ?」
「うっしー!」
暗くてよくわからなかったけど、うっしーだ。
低くて安心する声。
「うっしー、一緒に帰…」
先「おい、キヨ」
この声を聞いて、殴られると即座に思った俺は、ビクッと反応し、冷や汗をかく。
牛「…どした、キヨ?」
「いや、ごめんちょっと先生に呼ばれて、」
牛「いや、それはわかるんだけど…」
先「おい!!またされてえのか?呼んだら早く来いって言ったよな?3、2、──」
俺は腹の痛みに顔を歪ませながら、顧問のところへ走る。
「っは、すみませ…」
「なんですか、?」
牛(…怯えてる?)
うっしーが見てる。
ここで、殴られたくない…心配、かけたくねえ…。
先「なあ、お前さ、」
顧問はそういいながら、うっしーから見えないように俺の腕の痣をぐりっと押す。
「っ…!」
俺はうっしーに気付かれないように、痛みを堪える。
先「このこと、誰にも言うなよ?」
「……っはい」
先「じゃ、気を付けて帰れよ〜牛沢もなー」
牛「…っす」
顧問は先程までと表情を変え、手をひらひらと振ってどこかへ行く。
牛「……おい」
「な、なに!」
声が裏返った。
うっしーの声が、いつもより低い気がする。
牛「…」
うっしーは黙って俺のジャージをめくろうとする。
痣だらけで、痛々しい腹がそこにはあるから。
俺は即座にうっしーの手を跳ね除ける。
「な、なにすんの!?」
牛「あ、いや、ごめん…大丈夫か?」
「大丈夫って、何が?」
牛「…まあ、帰ろ」
「うん…」
うっしーは何か考え事をしているみたいだ。
俺は、暗闇の中、うっしーと2人で自転車を走らせた。
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