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ウロくんの王様講座2
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「ふふふ。それがね、いるものなんだよ。何故って? それは君、あそこは柱の世界だから、としか言いようがないなぁ」
楽しそうに笑ったウロが右の掌を上に向けると、その掌の上に神の塔の幻影が現れた。
「これね。あの世界の人間たちが神の塔って呼んでいる建造物。僕たちはこれを柱って呼んでるから、実際には塔じゃないんだけど、それはまあいいや。とにかく、この柱を保持するために、あの大陸はかなり優遇されているんだ。だから、優秀な駒は多い。となると、あと残るのは意識の問題だね。でもこれも簡単だ。王として相応しくない王は、即座に処理すればいい。今はもう滅多にないことだけど、この世界が出来始めた頃は、それはそれは多くの王が王獣に殺されたものさ。でも、そうやって不良品の処理を繰り返しているうちに、人間は王の条件を見出し、その条件を満たすようになってきた。こうして生まれたのが、王という生き物だよ。各国の色や、些細な違いはあれど、リアンジュナイル大陸の王の根幹はみんな同じだ。ただ、自分の国の民のためだけに邁進する、機械のような生命体」
憐れなことだけど、仕方がないね、とウロは言う。
「たった一人、王さえその役目を完遂すれば、あとは高効率な自浄作用が働いてくれるんだ。王が完璧なら、それに庇護された民もまた完璧に近いものになるから。……ん? 完璧すぎる君主の下にいたら、寧ろ駄目になるんじゃないかって? あははは、お馬鹿だねぇ。そんなものは完璧な君主とは言わないよ。あの人が定義づけた完璧な王は、たとえ王自身がいなくなっても、残った民の力だけで生き残れるように導ける王のことだ。自分がいなければ回らない国しか作れないような王なんて不良品だから、それが判った時点で王獣に殺されてる。だからね、この完璧な王を仕立てあげることが、一番コストを抑えられる方法なんだ。十二人の完璧な王がいれば、基本的にあの大陸はどんな脅威にだって立ち向かえる」
あとはねぇ、と、ウロが楽しそうに微笑んだ。
「多分、あの人の優しさなんだよねぇ。あの人、他人の感情とか理解できないし、あの人自身もほとんど感情の機微なんてないけど、でも、一応優しくしようと思ったんだと思うんだよ。かわいいよねぇ」
ほんのりと頬を朱に染めたウロが、ほぅと熱の籠った息を吐いた。
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