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各国壁ドン事情 橙の国編2
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「俺も聞いたことあるぞそれ」
「私もあるな。確か、流行の本に書いてあるんだったか?」
「あー、うちの女房がその本読んでたような気がするな」
口々に話す兵たちを見てから、王が若い兵に視線を戻す。
「それで、その壁ドンとやらは一体なんなんだ?」
問われた若い兵は、いやぁそれが、と笑った。
「彼女から聞いただけで、よく知らないんですよねー。その彼女も、なんか知り合いの女の子から聞いたってだけで、あんま詳しくは知らないみたいで。ただ、めちゃくちゃ良いものらしいですよ?」
そう言った若い兵に続いて、他の兵たちもあーだこーだと言い始めた。
「私は……、なんだっけかな。ああ、気分上がるだかテンション上がるだかって聞いたな」
「よく判んねーけど、なんかとにかく凄いんだよな」
「そうそう。凄くてやばくてうひょーって感じなんだってな」
わいわいと話しているうちに、なんだなんだと他の兵まで集まってくる。そうして大所帯になったのは良いが、それでもなお壁ドンの正体を知る者は現れず、ただふわふわとした情報だけが飛び交うせいで、より一層混迷を極めるだけだった。
だが、それも仕方がないことだ。なにせここに居るのは、読書に割く時間があれば全てを鍛錬に費やすような鍛錬馬鹿ばかりである。故に、どいつもこいつも右から左に流した他人の話しか情報源がないのだ。
そんな状態なので、結局のところ壁ドンとはなんぞや、と大勢で首を傾げることになる。
朧気ながら判ったことがあるとすれば、なんだか良いものらしい、気分が上がるらしい、とにかく凄いらしい、憧れる人が多いらしい、といった、大変曖昧な情報ばかりだ。
だがそんな僅かな情報を繋ぎ合わせて、偉大なる橙の王はひとつの答えを見出した。
「よぅし! 判ったぞお前ら!」
突然そう叫んだ橙の王に、全員の視線が集中する。
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