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各国壁ドン事情 薄紅の国編1
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「壁ドン?」
薄紅の国シェンジェアンの王宮の寝所にて。公務を終えて休んでいた薄紅の王は、寝台の上にしどけなく肢体を投げ出しながら、不思議そうにそう言った。
やたらと広い寝台の上には、王以外にも数人の男女がいる。見目麗しい人間を、王自らが選りすぐって侍らせているのだ。
「聞いたことがないわねぇ」
そう言いながら王が彷徨わせたしなやかな手に、侍っている女性の一人が淡い赤色の果実を手渡す。良い子ね、と言って彼女にひとつ口づけてから、王はしゃくりと果実を口にした。それをゆっくりと味わい嚥下してから、王が壁ドンの話を振ってきた美男へと視線を投げる。
「それで、その壁ドンとやらがどうしたと言うの? 今夜は気分が良いから、話を聞いてあげても良くてよ」
「ありがとうございます、ランファ様」
視線を向けられた男は、どこか恍惚とした様子でそう言った。薄紅の王と言葉を交わす民は、普段からその美しさに慣れている者でもなければ、大抵は王に見惚れてこうなってしまう。この男は王に見初められてからまだ日が浅いから、他の者よりも耐性が低いのだろう。
うっとりと惚けたままの男が、それでも請われるままに壁ドンの説明をすれば、王は綺麗な薄紅の髪をさらりと流しながら、小さく首を傾げた。
話をまとめると、リアンジュナイルで流行している物語の中に出てくる壁ドンという動作が人気を博している、ということらしい。
壁に相手を追い詰め、両腕で閉じ込めるようにして迫る。
正直、説明だけではそれの何が良いのかいまいちよく判らなかった。追い詰められるという状況自体が、王の性には合わないのだ。だが、民の間でそれだけ流行しているからには、流行るだけの理由があるのだろう。実際壁ドンを口にした男も随分と壁ドンにご執心のようだし、寝所に侍っている他の者たちも、皆少なからず憧れを抱いている様子だった。
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