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各国壁ドン事情 黄の国編2
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一拍置いて、きゃあ、というよりもぎゃあ、と言った感じの、最早金切り声と言っても差し支えのない多種多様な絶叫が周囲に響き渡る。
「クラリオ様! 私! 私もしてください!!」
「ずるい私も! クラリオ様ぁ、私も壁ドンして欲しいですぅ!!」
「クラリオ様ぁああ! こちらにも! こちらにもお願いしますぅうう!!」
騒ぎはどんどんと広まっていき、最早ここら一帯に居る女性と言う女性(一部男性も紛れている)が、全て王の下に終結しているのではないかと思えるほどだった。
人の群れが砂波の如く押し合い圧し合い、このままでは怪我人が出るやも、というところで、王が大きくパンパンと手を叩いた。
「はいはーい! 皆ちょっと落ち着こうかー!」
たったそれだけで周囲の声を一端落ち着かせてしまうあたりは、流石は王と言ったところだろうか。
とはいえ、いっそ殺気すら感じそうな熱気は未だ膨らんだまま、萎む様子は欠片もない。王の一挙手一投足で如何様にも爆発しそうな危ういそれに囲まれ、しかし王は常と変らぬ調子で、軽薄にウインクをして見せた。
「俺は逃げないから、順番にね?」
瞬間、先程までの無秩序っぷりはなんだったのだと言うくらい、人の群れが迅速に並び出した。あまりの長蛇っぷりに途中で折れたり曲がったりしてはいるものの、変に乱れることなく綺麗に一列に整列した人々に、王は満足そうにうんうんと頷いた。
ちなみに、王の一言で動き出した人々の中には、率先して列の整理に手を貸す者までいた。その筆頭は、最初に壁ドンをして貰い、恍惚にとろけていた女性だ。恍惚から我に返り、即座に王の手助けに入るあたり、王の人望の為せる業、と言っていいのかどうか。
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