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各国壁ドン事情 金の国編7
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頼りにしているこの忠臣は、このような場でも手抜かりがないようだ、と勝手に思った王は、師団長への評価をまたひとつ上げた。そんな王の発言に対して、師団長は一瞬、口の端を引き攣らせる。
「……恐れながら、陛下。私が、陛下に、壁ドン、を?」
「はい、そう言っているのですよ」
いつになく歯切れが悪そうな言葉に、王は不思議そうな顔をした。
大陸中で流行っている以上、危ない行動ではないだろうし、難しい動作だということもないだろう。先程の官吏とて、用事を思い出さなければあのまま壁ドンをしてくれていた筈なのだ。それなら、この優秀な師団長にできない訳がない。
それとも何か、自分が想像さえできないような不都合でもあるのだろうか。正直ヴァーリア師団長であれば一、二もなく快諾してくれると思っていた王は、俄かに不安になった。
「あの……」
「いえ、ギルヴィス王陛下、どうかご心配なく。不肖、カリオス・ティグ・ヴァーリア、陛下の望まれるようにさせて頂きたく存じます」
いつにも増して畏まった物言いに、王が少しだけ師団長を案じるような表情を浮かべた。
「本当ですか? 無理をしてはなりませんよ?」
「いいえ、無理などではございません」
いやにきっぱりと師団長が言うため、少し迷った末に、王は素直に師団長を信用することにした。
さあ、ついに壁ドンとご対面できるのだ、と王の幼い顔に微笑みが浮かぶ。
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