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各国壁ドン事情 おまけ3
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元気よく喚く黄の王をよそに、次に白の王に対して言葉を発したのは赤の王だった。
「何故壁ドンの仔細を確認しなかったのか、という問いだが、……恐らく、確認を取らなかった王は皆、同じような思考の下でそうしたのではないだろうか。無論、その結果先走ってしまったのは、我々の不徳の致すところだが」
そう言って微笑んだ赤の王に、青の王は忌々しそうに顔を歪め、緑の王はそっと目を伏せ、紫の王はむすっとした表情を作り、萌木の王は苦笑をしてみせた。皆、やらかした自覚のある王たちである。
「……まぁ、多分、だけれど。グランデル王の言うとおりなんじゃないかな、と僕は思うよ」
苦笑したまま肩を竦めてみせたのは、萌木の王だ。
「皆、壁ドンをすることで民が喜びそうだと判断しての行いなんだよね。で、じゃあ壁ドンとは何ぞや、となる訳なんだけれど、壁ドンを知らないという僕たちに対し、民は特に仔細の説明をしようとはしなかった。これはつまり、説明などなくても王の洞察力ならば壁ドンが何物かくらいは判るだろう、という判断なのかと。であれば、僕たちがそれに応えない訳にはいかないよね?」
そう言った萌木の王が緑の王に視線をやれば、彼女は静かに頷いた。
「……ええ、否定は致しませんわ」
一応、自分がやらかした自覚があり、まっとうにそれを恥じ入る感性を持っている彼女は、珍しくも少し気恥ずかしそうな様子である。そんな彼女を見た黄の王が声を上げようとしたが、青や銀あたりからのとばっちりを恐れた橙の王がその口を塞いだ。
金の王は、南方二国のそんなやり取りに苦笑してから、他の王に視線を移す。紫の王や青の王は相変わらず眉間に皺を寄せてはいるが、特に反論する様子はないので、つまりそういうことなのだろう。
王であるが故の悲劇、というと少し大げさだが、優秀で頭が回るからこそ、空回ってしまったのか。しかし、それほどまでに民を想い、民の発言の全てを己への信頼と期待だと考えているのだから、やはり円卓の王は素晴らしい方ばかりなのだ。
そんな感じで謎の感動を覚えた金の王だったが、ふと視界に入った銀の王の目が明らかに呆れ果てていたため、いや違うよな、と思い直した。空回った結果にしても、やることの規模と方向性はやっぱりおかしい。
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