アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
そらとぶ とかげ6
-
ショックだ。とてもとても、大きなショックだった。トカゲの棲んでいた火山よりうず高く、青の国の近海にある海溝よりも深いショックだ。
トカゲは自分に自信がある。名のある山の主であったし、若様の大切な人の護衛を直々に頼まれたほどなのだ。秘めた力はそんじょそこらの相手には引けを取らない。
だが、だが。身体の大きさは、|炎獄蜥蜴《バルグジート》という生物である以上、どうしようもない。トカゲはとっくの昔に成長期を終え、これ以上大きくなる見込みは欠片もないし、夢から覚めた時も思ったが、それを望んでいるわけでもなかった。
しかし……しかし!
少年は――――大きいトカゲの方が、いいのかもしれない……!
どよん、と頭上に暗雲を浮かべ、トカゲはしょぼくれた。しょげしょげと小さな頭が下がる。
ああ、きょうや……! きょうやは、おっきいほうがすき……!
トカゲはそのまま力なくシーツの上にぺそりと潰れた。夢の話を続けていた少年が不思議そうにトカゲを見る。そして、何故だかぺちゃりと伏せているトカゲに手を伸ばすと、そっと頭を撫でた。
「どうしたの、ティアくん?」
気力がぺちゃんこになってしまっているけれど、辛うじて尻尾を振って応える。なでなでと優しく頭から背まで撫でられるのは気持ちが良いのに、少年の気持ちを知ってしまった今、素直にそれを甘受することができない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 102