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円卓懇親会9
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「ああ、それは何よりです」
どうやら黄の国には気に入って貰えたようだ。ほっと胸を撫で下ろしたギルヴィスをちらりと見た紫の王が、視線を箱の中へと落とす。
「……へぇ、リィンスタットの奥方一同が美味しいって言ったんだ」
「そうなんですよぉ、ベルマ殿! 甘いものが駄目な人以外はめっちゃ喜んで食べてましたよ~。あ、その食べてる姿も皆かわいくってですねぇ」
「うるさい黙って。……ギルガルド王、ありがとう。後でいただく」
「はい、是非!」
色よい反応が返ってきたことに胸を撫で下ろしつつ、ギルヴィスはにっこりと笑顔になった。紫の王のお眼鏡にはかなったのだろう。なかなか幸先の良い出だしである。
「それでは、私は他の方のところに行って参りますので、これで」
「そう」
ぺこりと頭を下げて辞する旨を伝えると、紫の王はいっそ素っ気無いくらいの様子で言って食事を再開した。黄の王はじゃあなと軽い調子で手を振ると、あとはもう男など目に入らないと言う様子で、紫の王に向かって再びお喋りを始めた。
「ベルマ殿、ゼリーもどうぞ! あ、俺が食べさせてさしあげましょーか! 遠慮せずに! はい、あーん!」
「…………」
「あ、ちょっとベルマ殿、結界魔法張られるとあーんできないんですけど? ……あれ? ベルマ殿? もしかしてその中完全防音ですか? まったく聞こえてない? おーいベルマ殿、ベルマ殿~!」
これ以上ないほど完全に無視を決め込む紫の王に対し、黄の王はそれでもめげる様子がない。この図太さはある意味見習うべきなのだろうか、と思いつつ、ギルヴィスはそっとその場を後にした。
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