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恋するユニコーンは出梅の空を駆け巡る①
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「なんや、朝からご機嫌やねー」
「お、PANAおはよー」
「まぁ、本終わったら鼻歌も出るわな」
「へへっ。あ、PANA、俺今日はごはんいらないから」
「何、ホンマでっかのあと、飛び込み入った?」
「ううん、りんたろーさんちに泊まる」
「そうなんや、了解!ネタ合わせかなんか?」
「あー…うん、それもあるけど、本の打ち上げをね、まずはコンビでやろうって。多分、帰るのめんどくなるからついでに泊まってくるわ」
「そっか。
かねちは…
ホンマ、りんさんのことが好きなんやね」
「好きじゃなかったらコンビなんか組んでねーよ」
「それはそうやけど。前にさ、ほら、買い物センスやったっけ、EXITのYouTubeでやったやん?」
「うん」
「あんとき、めちゃめちゃ俺に嫉妬してたらしいな」
「何それ…」
「もっちーから聞いた」
「もっちーはすぐ何でも言う…」
「かねちでもそういう嫉妬すんねんなーって思って」
「別に嫉妬なんかしてねぇよ…PANAがなんでそんなりんたろーさんに気ぃ使うんだよとは思ったけど」
「それ、嫉妬って言うんやで」
「・・・・・・」
「やっぱかねちも人間やなぁ」
「俺はずっと人間よ?」
「そういう意味やなしに。
もっちーがな、かねちのこと、アイツは自分では気づいてないかもわからんけどりんさんと出会って変わったって」
「俺が?俺は特に自分が変わったとかないよ。外見以外は」
「編集してて思うねんて。かねちのこういうとこ初めて見るなー、とか、初めて知ることとか。7年一緒におっても初めて知ることあるみたいやね」
「へぇ…自分じゃわかんねぇなー」
「りんさんが解放してくれてるんやと思うって。俺もそう思う。りんさんと出会って初めて喜怒哀楽以外の感情のスキルを解放した感じ」
「えー…別に何か我慢してたわけでは…」
「かねちの場合、我慢することが我慢と思ってへんからな。でもりんさんの前だとその逆で、我慢しないことはワガママだと思ってない、気持ちを抑えきれないことは嫉妬だと思ってない」
「ねぇー、俺にあんまムズいこというなよー」
「ハハッ、ごめんごめん。まぁ、かねちの昔の恋愛の話はよう知らんけど、かねちのほうが好き好きってなるの初めてなんちゃう?」
「どういうこと…?」
「今まではなんか同情っていうか、相手のことかわいそうやからとか、自分と環境が似てたからとかそういう感じで好きになってたことが多かったんやないの?」
「・・・・・・」
「りんさんと出会って初めて同情とかなしに自分はこの人が好きなんだって、この人が欲しいって思ったちゃうんかな」
「…そうだと思う」
「ええなぁ、そういう人に出会えて」
「うん……
ん!?えっ!?あれ!?!?」
「なによ?」
「いや、なんか……えっ??」
「何、俺ともっちーが知らんとでも思ってた?なんなら、小澤だって知っとるんちゃう?」
「えーーー……」
「口開けばりんさんの話ばっかで気づかんほうがおかしいっちゅうねん」
「あー…そう……」
「ほんで、この前のアイス襲撃事件、あれで確定やなって思ったわ。で、あの日帰ってこなかったからもしかしたらってもっちーと話してたんやけど…そうやんな?」
「うん……」
「りんさんもな、時々、俺にかねちのこと聞いてくんねん。ただのかわいい弟みたいなもんでこんな親身になるかなぁ~って思うてて。でもな、いろんな弊害が二人を邪魔してるんかなーって…ムズい話やけど、でもいつか二人がお日さんの元、堂々と手繋いで歩けるとええなぁって思うてたんよ、なんも悪い事してるわけやないんやからな」
「こればっかはムズいよね…俺だけなら全然構わないんだけどまだまだ世の中的にはそうもいかねーじゃん?仕事だけじゃなくっていろんなところに迷惑がかかる、りんたろーさんちの親のこともある。だから、今はまだまだだけどいつかは理解してもらいたい、もちろんファンにも」
「ファンは喜ぶんちゃうんかー?どこぞの女に獲られるより、願ったり叶ったりやろ」
「ならいいんだけどさ。
PANA、このことはさ……」
「普通のことやん、いちいち誰かに話す必要はないねん。俺ともっちーと…小澤もやな、俺らは二人の味方やからな」
「ありがとう…」
「脇元さんと山岡さんには話したん?」
「まだなんだけど…なんか山岡さんは気づいてるっぽい…」
「ま、そこは女性ならではっていうのがあるからなー」
「うん……って、ヤベッ、もうこんな時間っ!!」
「えっ、あっ、ゴメン、足止めさせてしもうたわ!!」
「じゃ、いってきやすっ!!」
「おう、頑張ってなー、夜のほうも!」
「おーっ…って何言ってんの!?何言ってんの、この人!!」
「顔、髪と同じ色になってんでー」
「エロっ!!スケベっ!!」
「男は皆そういうもんやでー、はよお行き~♪」
「……PANA、ありがとな」
「なんか朝から賑やかねぇ」
「お、もっちー、おはよ」
「何騒いでたの?」
「ん?んー、ピンクの髪の色はそういう意思表示やったんかなって」
「何を今更」
「え、本当にそうなん?」
「いや、知らないけど。でも兼近なりのささやかな意思表示がチャラい=ピンクになったのかなって。さすがにりんさんが気づくわけがないとは思ってたからいつか想いが届けばいいなって思ってたよ」
「でも、そんときりんさんがかねちのことどう思ってるかとか考えへんかった?」
「それが不思議と思わなかったんだよね。なんかわかんないけど…どちらかが言い出せば…いや、お互い好きなのにコンビだから相方だから男同士だからって言えないんじゃないかってずっと二人を見てもどかしく思ってた、編集やってると特に思うよ。なんでお互い、そんな愛しそうに相手のこと見るんだろうって」
「そうやったんや…もっちーはもちろん味方やんな?」
「それ、俺に聞く?」
「愚問やったわ」
「PANAはさー、兼近のほうが好きが強いとかなんとか言ってたけどさ…」
「うん…って起きてたんかい」
「兼近の鼻歌が鼻歌のボリュームじゃなかったから目覚めてたわ。
俺はさ、兼近にとってりんさんは初恋みたいなもんじゃないのかなって思うんだよね」
「30…ちゃうか、出会ったのってかねちが24、5のときか」
「うん、遅れてきた初恋みたいな」
「なんか聞いたことあるネーミングやな」
「だからこそ、りんさんには感情的になるのかなってね」
「かもしれんな。でもな、もっちー、それ言うたらアヒルの子が初めて見るもんを親と勘違いしてるパターンもあるかもしれん」
「うん……でも兼近が幸せならそれでもいいと思う、盲目だろうが勘違いだろうが嘘つけない兼近が好きがダダ洩れになる相手ってりんさんしかいないでしょ」
「せやな」
「だからもし、何かあったら俺らがヒナを守ってやればいいよ」
「善の友達ができるな」
「善ちゃんとは違って大きくなっても飛べないけどね」
「恋愛はヒナのくせに今めいっぱい飛躍(と)んでるわ」
「うまーっ、何よ、それ」
「お、めっちゃええ天気やんっ!!梅雨明けやな」
「俺はまだ梅雨モードだからもっかい寝るわー」
「カビ生えるでー」
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