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少年とセジェスタ(2)
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少年とセジェスタは傷の手当を大概に近くの街の民宿に泊まった。作りは木製で暖かみのある内装で、宿の店主もセジェスタの怪我を気にかけ心配してくれた暖かな雰囲気の人だった。
「しばらくココで補給して支部の管理も見てくから2週間位は居座ろうかなぁ」
部屋に入ると荷物を整理し、疲れた体をベッドに投げ出す少年は滞在期間をセジェスタに伝える。よく忘れるが彼は幼く弱いながらも立派な軍人である。それなりに大きな街に行けばそこに軍隊の支部があり顔を出すようにはしているようだ。
「2週間か……多分その前に父が来るだろうな」
セジェスタはベッドに伸びる少年の向かいにあるベッドに腰かけ遠くを見ながら話す。少年はセジェスタの浮かない顔を見ながら前から思っていたことを問う。
「なあ、お前の父親ってあれだよな、色欲の悪魔だろ?」
「ああ……一応、ここではそういう括りになろうようだな。向こうではそんなこと関係ないというか、どいつもこいつも欲に忠実だからな……父は至ってまだ普通だと思う」
「……直接会ったことないから知らないけど魔界とこっちじゃやっぱ色々違うんだな」
「そうだな、おかしな方向に勘違いされてる奴なんて五万といるぞ、向こうは向こうで意外とこっちと大差は無いと思うけど、異様なのは天界くらいだよ」
「天界かぁ……生きとし生ける者の終着点……か」
セジェスタも少年も日頃からそんな話をすることはあまりない。今回は父の件が絡んでいることで珍しく少年が興味を持つ。少年はあえてこの話題には触れないようにしているんだとセジェスタは知っている。
「まあ、そんときはそん時か……俺が死んだらよろしく頼むぜジェス」
「物騒なこと言うなよ、でもお前と一緒ならいいかもな」
久しぶりにゆっくり出来る環境に腰を下ろしたためか、しばらくそうやって二人で話しを続ける。移動中や任務中は必要最低限の会話と合図のみ、こうやって落ち着ける場所に来ない限りゆっくり話をすることは出来ない。
それでもこの時間はあまり続きそうにないと、セジェスタは暗くなった窓の外に目線を動かした。
今宵月もなく雲が陰った真っ黒な夜空が広がっていた。
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