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第一章
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積み上げられたシャンパングラスに、頂上から一本十万円以上のシャンパンが次々と注がれていく。
積み上げられたシャンパングラスの数は、三百個を超えていて、その全てにシャンパンが行き渡るのにボトル六十本以上。
一般的には考えられないような高額な金額はたった一夜で振る舞われる。
迅鵺の世界ではこれが日常的なことで、この日、断トツで一番の売上を誇った。
この後、シャンパンタワーのお客とアフターへ行く約束だ。
※アフター=営業終了後に客と出掛けること
いつもの倍以上お酒を飲んで酔っ払っているが、そんな事は関係ない。
迅鵺なりの“ケア”が、こうしてアフターでホテルへ行き、甘い言葉と甘い快楽をお客へ与える事なのだから。
高額な金を支払うお客に下心が何もない訳ではない。
それなりのモノを、お客も迅鵺に求めているのだ。
きらびやかな世界で大金を動かす歌舞伎町の男。
容姿もホストとしての素質も男としてのステータスも、この世界では誰もが憧れる程の実力の持ち主だった。
そんな迅鵺の身に少しずつ不可解な出来事が起こり始める。
この時の迅鵺には、それを回避出来る訳もなく、魔の手が近付いている事にも気付けずに迅鵺のバースデーイベントは幕を閉じた。
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