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第二章
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「────なるほどな。まあ・・客の仕業だとは思うが、少しも手掛かりが出てこねぇってのは気になるな。」
響弥の言う通り、過去のストーカーをしてきた客はすぐにボロが出た。
寮のマンションで待ち伏せされていて、部屋に入ろうとした所に現れたり、接客中での会話の節々から分かったり。
とにかく、何かしら犯人を特定できる事があって大事には至らずに解決していた。
ただ、今回に関しては本当に客の仕業なんだろうか?
迅鵺は、あの男の事が気掛かりでしょうがない。
響弥はその事を知らないから当然のように客の仕業だと思っている。
だが、迅鵺はあの男の事だけは話せなかった。
あんなっ──・・あんな事、恥ずかしくて言える訳ねぇだろ!?
男に組み敷かれたとはいえ、迅鵺にはプライドがある。
況してや、ずっと憧れてきた今では一番慕ってる響弥に話せる訳がなかった。
迅鵺は親身になって話を聞いてくれている響弥に少し後ろめたいような気持ちになる。
けれど、この不可解な事だらけの気味の悪い状況に、一人ではもう耐えられなかったのだ。
「んじゃあ今日、店閉めたら迅鵺のマンションに行くぞ。アフター入れんなよ。」
響弥の言葉に迅鵺は安心して返事をすると開店の準備へと入る。
今の時刻は夜七時半頃。開店まであと三十分くらいだ。閉店時間は二十四時。
大抵はアフターで帰るのは朝になるが、昨日は閉店してすぐに帰ったから今日も大体同じ時間帯にマンションに行く事になるだろう。
もしも、またアイツが現れたら──・・
迅鵺はストーカー行為の事よりも、あの男の事で頭をいっぱいにしていた。
アイツは暗いうちにしか現れないのか、そうではないのか、そもそも本当に幽霊だったのか・・
考えれば考える程分からなくなって、迅鵺は諦めたように考えるのを止める。
「───仕事に集中しなきゃな・・」
ぽつりと一人言を溢すと、お客に電話したりLINEをしたりして営業を始めた。
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