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第二章
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迅鵺は立ったまま震える手でボクサーパンツの上から撫でるように触れる。
くっ、くそぉ──・・響弥さん、見ないでくれっ・・
「おいっ!迅鵺てめぇ、いくら溜まってるからって俺の部屋ですんじゃねえっ!」
響弥の言葉に違和感を感じた迅鵺は、ある可能性が頭に浮かぶ。
「きょ、響弥さん・・コイツが見えないんすか?」
「はあっ!?何意味わかんねぇこと言ってやがるっ!」
響弥には男の姿が見えていなかったのだ。
という事は、響弥には迅鵺がいきなり自慰を始めたように見えているということ。
男は最初から気付いていて迅鵺に自慰を強要した。
その事に気付いた迅鵺は更に怒りが湧いてきて、あまりの羞恥心に顔を真っ赤にする。
迅鵺は一発殴ってやろうと身を捩らせようとしたけれど、ビクとも体が動かなかった。
男の思いひとつで迅鵺の自由を奪う事が出来るのだろうか?
昨日もここぞという時、身動きが取れなかった事を思い出すと、迅鵺は悔しさと情けなさが溢れてきて必死に堪えていた涙をついに溢してしまう。
「────ほら、続けて?」
この男は、なんて最低な野郎なんだ──・・
どんなに抵抗したって、この男の前では全てが無力化となってしまう。
迅鵺は半ば諦めたように自慰行為を続けた。
「やめろって言ってんだろっ!」
迅鵺の気持ちは響弥には伝わらない。
ボクサーパンツの上からだとはいえ、他人の男の自慰行為を見ていられなくて声を荒げる。
いつもと様子がおかしいと気付いてはいても、響弥の目に映るのは自慰をする迅鵺の姿。
人間というモノは自分の目で実際に見たものを信じやすく、目に見えないモノは否定しやすいもの。
響弥も例外ではなかった。
初めて見る迅鵺の涙に戸惑いつつも、迅鵺の股間がパンツ越しに膨らんできているのに気付き、ついに見るに耐えられなくなった響弥は部屋を出て行こうとした。
「────てめぇが辞めねぇんなら、俺が出ていく!後で覚えてろよっ!」
響弥の言葉に、迅鵺はこれ以上見られなくて済む・・そう思って晏如する。
けれど──・・
「────はあっ!?なんだ・・これっ・・体が動かねえ・・」
部屋を出て行こうと振り返ろうとした響弥は、身動きが取れない事に冷や汗をかいて混乱している様子だ。
目の前には、泣きながら自慰をする迅鵺。
“コイツが見えないんすか?”という意味不明な言葉。
金縛りにでも遭ったように動かない体。
普通の人間なら恐怖して当然な状況だろう。
こんな異様な光景の中、この男だけは笑っていた。
「さあ、迅鵺。下着を脱ぐんだ。」
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