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第三章
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「───では、こちらに氏名、住所の記入をお願いします。」
あの日から一週間。
迅鵺は毎日受付嬢と連絡を取り、時にはプライベートで食事をしたりと手間をかけて、早くも一週間でビルへの潜入まで漕ぎ着けた。
もしかしたら、このビルにストーカーの犯人が居るかもしれないと同情を煽ったのが決め手だった。
相談をされるという事は、自分に弱味を見せてくれたと錯覚するもの。
この受付嬢は、迅鵺が特別に自分に気を許してくれているのだと思ったのだ。
“協力してあげたい”
そう彼女に言わせた迅鵺は予め潜入する日を連絡しておいた。
本来なら来客の理由と氏名、住所を記入しなければいけないが“フリ”をするだけで入場許可証を手渡される。
そうしてビルへの潜入を成功させた。
迅鵺は、なるべく不自然に見えないようリクルートスーツを購入し、髪の毛も後ろへ流し念のため眼鏡も掛けた。
一階の受付には宅急便の荷物を持った業者が居て、その後ろを通りエレベーターに乗って最上階を確認すると二十七階まである事が分かった。
まずは、二十七階のフロアから確認を始めると迅鵺のマンションがある側には部屋がズラリと並べられていて、そこには各々仕事をする社員達の姿があった。
流石に室内に入る事は出来ないと判断した迅鵺は知ってる顔が居ないかだけ見ながら非常階段に繋がるドアを開ける。
すると、エレベーターでは二十七階までだったが、上に続く階段がある事に気付いて階段を登ると屋上へと繋がっていた。
屋上から迅鵺のマンションを見てみると、遠くを撮れるカメラならもしかすると部屋の中を撮る事が可能かもしれない。
そう思った迅鵺は、やはりここの社員の可能性が高いのではないかと思い一階ずつフロアを確認する事に決めた。
けれど、知ってる顔には会えずに一階まで戻ってしまい、それまでに見たモノを思い返す。
社員は男が多いものの女性社員も居て、フロアの清掃員や窓の掃除をする業者も見掛けた。途中トイレに行きたくなって入ったトイレにも清掃員が居た。
そのどれもが、会社では普通の風景で怪しいと思える物は分からず、位置的には広く幅をとっても、25階から屋上の間からなら撮影が可能かもしれないというヒントが得られたくらいだった。
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