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第三章
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受付嬢にお礼を言ってビルを出たのは昼過ぎで、迅鵺は響弥に連絡をとると響弥のマンションで話しを整理する事になった。
「今日見た限りでは客は居なかったです。でも、写真は多分撮れそうっすね。」
「マジか・・まあ位置的に正面にあるからな。俺も知り合いにあのビルで働いてる奴が居るっていう奴が居て、ホストにハマってる奴とかストーカー気質がある奴だとか色々聞いたけど、なんも出て来なかった。」
響弥は申し訳なさそうに“悪いな”と付け足した。
あの日、響弥の部屋でアイツが現れてから今のところ出てこなくなったが、あの日以来迅鵺は自分のマンションへ一度も帰っておらず、正直マンションへ行くのを躊躇っていた。
ストーカーはあの男とは別の奴で客だと思うようにしてはいるが、どうしてもあの男と繋がってる可能性を考えてしまう。
こんなに探し回ってるのに何も出てこないという気味の悪さに迅鵺は気が気じゃなかった。
“またアイツが現れたら──・・”
そう恐怖せずにはいられなかったのだ。
「とりあえず、写真は撮れるかもしれないって分かったんなら、明日午前中から動くぞ。」
響弥は迅鵺のマンションから携帯会社のビルの様子を見れる双眼鏡を買いに行くと言い、二人でマンションからビルの様子を伺うという響弥の提案だった。
明日から数日、付けたカーテンを開けておいて盗撮をさせるという誘導作戦ということだ。
もしかしたら、それで犯人を特定することが出来るかもしれない。
迅鵺はそう思うと少し前向きな気持ちになれた。
「俺、響弥さんに相談して良かったっす。」
迅鵺は改めて響弥にお礼を言うと響弥は少し照れ臭そうに笑った。
「俺にとって、お前は可愛い弟みたいなもんだからな。こんくらい当たり前だ。」
明確な作戦が立てられたというだけでも迅鵺にとっては大きな一歩で、ストーカーの件が片付けば後はあの男の事だけ。
そこが一番迅鵺を悩ます原因だが、あの男とストーカーが繋がってるのか、そうではないのか、不安事は一つでも消したいところだった。
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