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第三章
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ドクンッドクンッ・・と、全身の血が沸騰してるかのように脳まで心臓になってしまったのではないかというくらい、迅鵺は強い鼓動を体中に巡らせていて、驚きと恐怖の色を濃く表した眸は見開かれている。
そこには、あの男が座っていたのだ。
ど、どういう事だ!?
迅鵺は混乱していて上手く脳が働かない。
その中でも分かった事は、そこに居る男の姿は透けてはいないという事だ。
それに、何より自分以外の人物にも見えているという事。
コイツは幽霊じゃなかったのか!?
なかなか席に座ろうとせず突っ立っている迅鵺は、たまたま通り掛かったホストに声を掛けられて我に返った。
「迅鵺さん、どうしたんですか?」
ビクッと体を跳ねらせ、迅鵺は大丈夫だと返事をすると男から一度も視線を反らさずに男の隣へと座った。
「い、いらっしゃいませ。初めて・・ですよね?」
震える声でなんとか言葉にする。暑くもないのに、迅鵺の額からは一筋の汗が滴り落ちた。
「は、はい──・・こういう所も初めてで・・」
デカイ図体の割に何処と無くオドオドとしていて、猫背な目の前の男からは何故だか迅鵺が知っている男とは少し印象が違った。
確かに顔は同じだけど、よく見てみると黒縁の眼鏡もしているし、あの嫌な含みを孕んだような表情とは違って、気の弱そうな感じだ。
「お名前・・聞いてもいいですか?」
なんとなく知っている男とは違う様子に戸惑いつつも、黙っている訳にもいかないので男の情報を聞き出す。
「はると・・鮎沢 悠叶(あゆざわ はると)です。」
やはり、まるで別人のような雰囲気だ。ただの他人の空似で別人なのか?そう思ってしまう程、悠叶と名乗った男からは嫌な感じがしてこない。
それどころか、よくよく見てみるとなかなかのイケメンだ。180㎝は超えていそうな長身に、がっしりとした肩幅、眼鏡をしてはいるけれど二重の柔らかい印象の目元、鼻はスッと高くて形の整った唇。黒くて癖ッ毛のクリクリとした短い髪の毛。
あの男とは掛け離れたイメージでデカイ犬みたいな外見だ。
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