アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第三章
-
「悠叶さんデカイっすね。何センチあるんですか?」
迅鵺は”連絡先が載っていない方の“名刺を悠叶に手渡すと、悠叶はそれを両手で受け取る。
「えっと、184センチです。」
「かなりデカイっすね!羨ましいです。───あの、ここに来た理由とか聞いてもいいっすか・・?」
迅鵺は、今一番気になっていることを聞いた。
答えを聞いたところで真実かは分からないが、いくら別人のようだとしても全く同じ外見に、どうしても警戒してしまう。
悠叶は少し考えて、言いにくそうに後頭部を掻いている。
「あのっ・・俺、実は迅鵺さんのファンなんです・・」
そう言う悠叶の顔は少し赤くなっていて、どうやら恥ずかしいのかソワソワと落ち着きがない。
そんな悠叶の言葉に迅鵺は戸惑った。ファンとはどういう意味なんだろうか。
要するに、どんな意味であれ迅鵺に好意を持って来店したという事だ。
悪い想像をしてしまい勘繰ってしまう。
「そ、そうだったんすね・・男性に、そんな風に言われる事って、なかなかないんでちょっとビックリしました。」
迅鵺の言葉に、悠叶は少し不安そうな表情だ。
「・・・気持ち悪くないですか?」
悠叶の遠慮がちな態度に迅鵺も困ってしまう。
というより、最初から不可解な事ばかりだ。
迅鵺は、頭がパンクしそうになって考えるのを止めると、今日は当たり障りのない会話で繋いで閉店時間を迎えた。
「あっ、あのっ!また、来てもいいですか?」
帰り際、悠叶は精一杯の勇気を振り絞った。というような態度で一度歩みを進めたにも関わらず、わざわざ振り返ってそんな事を聞いてくる。
「勿論ですよ。お待ちしてますね。」
「───っ!ありがとうございます!今日、勇気を出して来てみて良かったです・・・。」
迅鵺は、なるべくいつも通りの接客態度で返事をすると、迅鵺の言葉に嬉しさを隠せないといったように、満面の笑みを浮かべて深々と頭を下げる悠叶。
あの男が、このような低い姿勢をするものなのかと、あまりにものギャップに内心では困惑しながらも、この日はこのまま悠叶を見送った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 140