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第四章
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「「いらっしゃいませっ」」
流行りのBGMが流れるブラックライトで演出されたこの空間で、派手なホスト達はお客様の来店を知らせる。
金曜日のホストクラブは一際賑わう。TOP SECRETも他店に負けない程に賑わっていた。
そんな中、突然の悠叶の来店。
来ないと気になっていたのも束の間、悠叶が来店した日から丁度一週間経った今日、ひょっこり現れた。
「また来ちゃいました。」
へらっと、表情を崩して照れ臭そうに言う悠叶。
姿を目にした瞬間はドキッとするものの、悠叶が放つ空気は柔らかくて、やはりあの男とは別人のように感じる。
迅鵺は複雑な気持ちだった。
あんなに苦しめながら自分を犯し、更には響弥の目の前であんな酷い事をした男にそっくりな悠叶は、むしろ好感を持てるくらい人柄が良い。
「迅鵺さん、猫は好きですか?この前、実家に帰ったんですけど、うちのハナコ可愛いでしょお~?」
人の気も知らないで、緩みきったデレッデレの笑顔でスマホ画面を見せてくる悠叶。
目の前に出されたスマホの画面に映る可愛いらしいハナコちゃんの写メを目にすると、つい迅鵺も顔が綻ぶ。
「めっちゃ可愛いっすね~」
悠叶はフリーのカメラマンをやっているらしく、身近な物をカメラで撮ったり写メを撮ったりするのが癖になっているくらいの趣味だそうだ。
悠叶は毎週金曜日に会いに来るようになった。
ある時は、マナーの悪い迅鵺のお客に説教をしに行こうとしたり、悠叶の中では高価な方であるシャンパンを入れたり。
ある時は、迅鵺の体調を気遣い大量にお酒を飲む迅鵺が休憩できるようにと、自分の席ではお酒ではなくノンアルコールを勧めた。
とにかく悠叶は、器用とは言えないが真っ直ぐで優しかった。
いつの間にか、時々不安を感じつつも普通の友達のように話せるようになっていて、ヘルプに入るホストからも評判が良い。
※ヘルプ=指名が複数被っていて席を離れているホストの代わりに席に着くホスト。
その間、おかしな事は何も起こらず、響弥だけはいつまでも警戒していたが、一番近くで一番悠叶に関わってきた迅鵺は、もしかしたら悠叶は悪い奴ではないのかもしれないと思い始めていた。
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