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第四章
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やっぱり、あの人は迅鵺さんの事が好きなんだっ!
悠叶は気が立っている。響弥のポジションに自分が居れたらどんなにいいかと何度も思った。
悠叶から見て、いま一番迅鵺に近い人物が響弥だからだ。
響弥にだけは迅鵺を渡したくない。
迅鵺を好きだという気持ちに嘘を吐いて、認めない人になんか絶対に奪われたくないと激しく気持ちが昂ぶっている。
悠叶がここまで響弥に強い敵意を持つのも、自分とは正反対な境遇だからだ。
他の誰よりも迅鵺の事が好きなのに・・悠叶には“触れたくても触れられない”そう思ってしまう事情がある。
悠叶の過去には、大きな傷があった。
『僕、悠叶にだったら傷付けられてもいいよ。ずっと、悠叶のことが好きだったんだ・・だから悠叶・・僕のことを好きにしてよ・・』
『───かなたっ・・でも、怖いんだ・・奏太を壊してしまいそうで・・』
『悠叶、それは違うよ。だって僕達こんなに好き合ってるじゃない。だから何も怖い事なんてない。それよりも、僕は悠叶と繋がりたいよ・・』
─────迅鵺さん・・俺、怖いんです。何よりも、あなたを傷付けて嫌われてしまうことが・・
悠叶は、幼馴染の奏太との事を思い出して、急に気分が悪くなる。顔色は真っ青になっていって、気持ちが悪くなったのか口元を手で覆うと、道端にしゃがみ込んでしまった。
『こんなの、あんまりじゃないかっ!酷いよ、悠叶っ!!』
『ごめんっ・・本当にごめんなさい・・でも、奏太が良いって言ってくれたんじゃないか・・抱いて欲しいって・・』
『こんなに辛いだなんて思わなかったんだっ!なんで手加減してくれなかったんだっ!!見てよっ!この痣っ!!』
奏太は泣きじゃくりながら悠叶を責め立てた。奏太の首には、くっきりとした赤紫色の痣があって、体の至るところに噛み痕がある。
悠叶は、そういう性癖だったのだ。
悠叶は元々ゲイだった訳ではない。ただ、悠叶の性癖が女性にはあまりに酷だったから自然とそうなっただけ。
小さい頃からずっと一緒だった奏太。
奏太の方がゲイだった。
最初に好きになったのは奏太の方で、二人が高校卒業を間近に迎えた時、奏太は悠叶に抱いて欲しいと求めた。
けれど、悠叶はそれまで自分の性癖で誰かを傷付けてしまうを事をずっと怖れてきた。
“自分は普通ではない”
”頭がおかしいんだ”
“触れたら壊してしまう”
自分の性癖を認めたくなくて必死に隠してきた。
ただ一人、幼馴染の奏太を除いて。
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