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第四章
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───悠叶が、自分の性癖に気付いたのは小学六年生の時。
親が観ていたテレビドラマの首を締めて殺害するというシーンを見た時、苦しそうに顔を歪める被害者に酷く惹かれて興奮したのだ。
その直後、自室で精通させた。
悠叶は子供ながらも、そんな自分が怖くて誰にも言えなかった。
そして、悠叶が中学校に上がって暫く経った時、奏太がゲイだった事を知った。
奏太は自分がゲイである事に悩んでいて、それを幼なじみの悠叶にだけ明かしたのだ。
ずっと悩んでいた事を話してくれた奏太なら、自分の悩みも聞いてくれるんじゃないか?
そう思ったのは、悠叶が子供だったからなのかもしれない。
二人はお互いの秘密を分かち合った筈だったのに、現実はそんなに甘くはなかった。
受け入れてくれてたと思っていたのに、実際に目の当たりにすると奏太は受け入れる事が出来ず、高校卒業と共に悠叶から離れていってしまった。
悠叶は酷く傷付いて、同時に自分を責めた。
“なんであの時、我慢が出来なかったんだ”
けれど、泣きじゃくる顔も苦しそうな悲鳴や声も、どれもが悠叶を興奮させた。
奏太がどんなに嫌がっても、それは悠叶を誘惑する甘い蜜となるばかりだった。
悠叶も未知の甘い誘惑には勝てなかったのだ。
この時、もう二度とこの手で誰かに触れたりはしないと、そう強く決めた。
悠叶は、今でも奏太との出来事がトラウマになっている。
いつ誰かを傷付けてしまうかも分からない・・そんな思いを十年間ずっと、たったの一人で抱えて来た。
そんな悠叶だからこそ、半端な気持ちでいた響弥が許せなかったのだ。
自分だって、こんな性癖じゃなかったら・・
そう妬まずにはいられなかった。
迅鵺に触れたい。でも、触れてはいけない。
きっと奏太みたいにボロボロに傷付けてしまうから。
ただ好きなだけなのにっ──・・
迅鵺を好きになればなる程に悠叶は怯えていた。
「迅鵺さん──・・好きになってしまって、ごめんなさいっ・・」
悠叶は人通りのある道端にしゃがんだまま、震える声で小さく言葉を溢した。
“でも、決して触れたりはしないから・・”
悠叶は心の中でそう自分に言い聞かせて立ち上がると、住んでるアパートへと向かったのだった。
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