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第五章
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「迅鵺、どういうことだっ!?あれだけ言ったよな?アイツには近付くなって!」
迅鵺は、営業終了後に外で待たせている悠叶の元へ行こうと、店の裏口から出た所で響弥に捕まっていた。
響弥は、他のホストから迅鵺と悠叶はアフターだと聞いて慌てて迅鵺を追ってきたのだ。
「響弥さんっ・・勝手なことしてすいません。でも俺、これからずっと悠叶さんを疑っていくなんて嫌なんです。それに、響弥さんに心配かけ──」
迅鵺の言葉を最後まで聞かずに、響弥は迅鵺を店の外壁に追い詰めて、迅鵺の目をじっと見詰める。
「────頼むから、これ以上俺を不安にさせるな・・」
そう呟いた響弥の表情は、夜中の店裏で暗いこの場所でも、悲しそうな瞳の色を揺らめかせているのが分かった。
そんな切羽詰まる響弥の態度に迅鵺はどうしたらいいのか分からなくて、言葉を失ってしまったけれど、迅鵺も思う事があって決めた事だ。
「────すいません。行かせて下さい。これで、はっきりさせますんで。」
迅鵺の強い意志に諦めたように、外壁に付けていた腕を力無く落とした───かのように見えたのだが、迅鵺が響弥に頭を下げてその場を去ろうとした瞬間、響弥に腕を掴まれて抱き寄せられてしまった。
「──────っ!?きょ、響弥さんっ?」
迅鵺は急な出来事に驚いて体が固まってしまう。そんな迅鵺を、響弥はしっかりと抱き締めていた。
「───なあ・・何かあってからじゃ遅いだろ?どうしても行くって言うなら、俺も連れてけ。」
「響弥さん・・どうしたんですか?こんなの、おかしいです・・とりあえず離して下さい。」
“こんなの、おかしいです”
迅鵺の言葉に響弥はズキッと胸を痛めた。
迅鵺を好きだと認めただけで、こんなにも気持ちが溢れてしまうものなのか・・・
響弥は自分自身に驚いていたが、それよりも悠叶の元へ行かせたくない。
傷付いて欲しくない。危険な目に遭わせたくない。
“誰にも渡したくない”
響弥の強い想いが、響弥を動かした──・・
迅鵺を抱き締めていた腕を少し緩めると、静かに、でも情熱的に迅鵺の顔を伺う。
迅鵺の瞳と視線が絡まって、響弥はゆっくりと迅鵺の顔へ自分の顔を近付けていく──・・
唇に触れそうなくらいまで二人の距離が縮まった時、この空間に劈くような声が響き渡った。
「迅鵺さんから離れろっ!!」
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