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第五章
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─────時は遡る。
悠叶は、写真のコンテストに出品する写真を撮る為にカメラを持ち、何ヵ月もかけて都内を出回っていた。
悠叶が自分で決めた写真のテーマは、都内の動物。
鳥や野良猫、野良犬も見掛けた。
雨が降った日は、蛙や蝸牛等、見掛けた様々な生き物を撮って歩いていたのだ。
カメラに捉えられる瞬間は、瞬きひとつで逃してしまう世界。
悠叶は、そんな一瞬一瞬を見逃さないよう、最高の瞬間と出逢う為に全身全霊を掛けてカメラを構える。
そして、八月の上旬。
悠叶は新宿を回っていた。
都会全開の風景の中に、野生な瞬間を捉えたい。
その日も、カメラを握る手に力が込められている。
夢中になって、撮影をして回っていると、気付けば辺りは暗くなっていた。
時刻を確認すると、七時を回っている。
この時間になると夜の商売が栄えはじめて、ホステスのお姉さんやホストのお兄さん、水商売の雰囲気を纏う人達があちこちに見える。
そんな中で、悠叶はバッタリと会ってしまったのだ。約十年ぶりに会ったけれど、忘れる筈もない。
奏太の顔を───
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