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第五章
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悠叶は重い腰をなんとか上げて立ち上がると、フラフラと何処へ向かうのかも考えずに歩き出す。
奏太は幸せそうだった。
外だというのに男同士で腕まで組んで。
知らなかった。
俺達の事を誰かに話していただなんて。
俺はずっと独りだった。ただの一人にも話した事すらなかった。
本当は寂しかった。自分の性癖を憎みもした。
けれど、それ以上に、拒まれ、傷付け傷付けられる事が怖かった。
だから独りでも生きて来られたんだ。
奏太に不幸になって欲しかった訳ではない。
幸せなら、それはそれで良かった。
”でも、あんな目で見なくても良かったじゃないかっ!!“
悠叶は、今にも泣きたい気持ちをグッと堪える。
だけど、今までたった独りきりで怯えるように自分の性癖を隠して生きてきた悠叶だったが、そんな努力も一瞬で消えて無くなってしまう程の孤独が悠叶を更に深い闇へと突き落とした。
そんな時だった。ドンッと肩に誰かとぶつかったような衝撃があり、全く体に力が入っていなかった悠叶は、ぶつかった衝撃で倒れてしまう。
「やっべっ!!お兄さん大丈夫っ!?ちょっとワリぃけど俺急いでんだっ!何かあったら直ぐそこのTOP SECRETって店で働いてるからそこまで来てくれよっ!マジ悪いっ!」
どうやら悠叶は歌舞伎町まで来ていたらしく、随分と派手な身なりの男は、顔だけ後ろを向かせて走りながら叫んでいった。
これが、迅鵺と悠叶の出逢いだった。
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