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第六章
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「響弥さん、ちょっと上がってって下さい。」
「お前の体が心配だからな。最初からそのつもりだ。」
悠叶と揉めた二人は、お店の裏口に悠叶を残した後、迅鵺のマンションへ来ていた。
迅鵺は悠叶に首を絞められ、首には赤紫色にくっきりとした痛々しい痕が残っていて、明らかにやつれたように顔色が悪く冷や汗をかいている。
「────すいません・・ちょっと、ぶっ倒れそうっす・・」
途中でタクシーを拾って乗って来たが、迅鵺の体力はかなり消耗していて響弥にふらつく体を支えて貰いながらマンションの部屋まで移動する。
けれど、迅鵺が響弥を呼び止めたのはそれが原因ではない。
響弥は執拗に悠叶から遠ざけようとした上に、迅鵺を抱き締め、キスまでしようとした。
迅鵺は、一年間慕ってきた響弥だからこそ、その事をうやむやにするつもりはなかった。
部屋に上がるなり、響弥は迅鵺を寝室につれて行こうとしたが、迅鵺はソファーに座るように促した。
「話なら明日でもいいだろ。」
迅鵺の体を労って言うが、迅鵺は首を横に振る。
「心配掛けてすいません。でも、今話したいです。」
「───お前は、一度言い出すと聞かねえからな・・」
響弥は諦めたように溜め息を吐くと、迅鵺をソファーに座らせて、自分も向かい側のソファーに腰を下ろす。
少しの沈黙の後、迅鵺はゆっくりと口を開いた。
「────いつからっすか?」
「・・・は?」
突拍子もない迅鵺の言葉に、つい情けなく短い声を出してしまう響弥。
だけど、そんな響弥を真っ直ぐに見詰めて迅鵺は、再度聞く。
「いつから、俺のことそんな風に見てたんすか?」
「・・・なんの事だ?」
当然、迅鵺の言っている意味を響弥は理解している筈だ。
けれど、響弥は口を噤んだ。
「────言いづらいのは分かります。けど、あんなことされたら流石に気付きますよ。頼みます・・俺、このままあんたの気持ちを無視していくなんて嫌です。」
響弥は迅鵺の強い意思を感じて戸惑いの色を見せたが、長い溜め息の後、躊躇いながらも話し始めた。
「────すまねえ・・自分でも驚いてるんだ。最初こそ、この気色わりぃ感情に否定したりもしたんだ。───迅鵺が泊まりに来たあの日、お前の姿に、その・・興奮した・・・」
迅鵺は、なんとなく切っ掛けとなった理由は予測していた。
それでも、面と向かって言われると複雑な思いだった。
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