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第六章
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「───んっ、ふっうっ・・」
手で口を押さえていても漏れる声。
響弥は、迅鵺の胸元から顔を上げて口を塞いでいる迅鵺の手を剥がすと、頬や鼻、迅鵺の顔中に口付けを落としていく。
「こ、こんなこと、しないで下さいっ」
迅鵺は、まるで“愛している”と言われているような感覚になって、いたたまれなくなってしまい、つい拒絶するような事を言ってしまう。
けれど、そんな迅鵺にお構い無しに愛撫を続けた響弥は、迅鵺の耳元に唇を寄せて囁く。
「お前が決めたんだろ。俺の好きにさせろ・・」
耳から快感を吹き込まれたような、甘い痺れに身を震わせる迅鵺。
「────あっ・・」
つい甘い喘ぎ声が出てしまう。
「お前───・・敏感過ぎんだろ・・・」
響弥は、思っていたよりも感じやすい迅鵺の身体に魅了されていた。
そして、迅鵺の股間に手を伸ばすと少し硬くなりかけている場所を揉みしだく。
「───あっ・・まって・・」
絶対に感じてしまう場所を触られて、羞恥の色を顕す迅鵺。
そんな迅鵺に、ドクンッと鼓動が大きく反応して思わず釘付けになってしまい、一瞬、我を忘れて迅鵺を滅茶苦茶にしてやりたいという衝動に持っていかれそうになる。
けれど、響弥は理性を振り絞り“これが最後”だと言わんばかりに熱い吐息混じりに口を開いた。
「───迅鵺、このままだと本当に抱くぞ?自分の命が掛かってるんだ。いい加減、俺の言う事を分かってくれよっ・・」
響弥の瞳は濡れていて、迅鵺を守ってやりたい。危険な目に遇わせたくない。そんな想いがひしひしと伝わってくる瞳だ。
けれど、迅鵺は首を縦には振らなかった。
「──────抱いて下さい。」
迅鵺の揺るぎない言葉に、響弥は張り詰めたように呼吸を止め、沈黙してしまう。
自分が跨っている迅鵺の淫らな身体は、響弥を酷く誘惑する。抱こうと思えば迅鵺の身体は受け入れてくれるだろう。
けれど───
「─────くそぉっ!」
響弥は苦しそうに叫ぶと握り拳を横に振って、行き場のない激情をソファーの背凭れにぶつけた。
いきなり大声を上げた響弥に、迅鵺は体を強張らせる。
響弥は瞼をきつく綴じて上を向き、なんとか昂ったごちゃ混ぜな感情を落ち着かせようと鼻で大きく息を吸って、深呼吸をした。
「────本当にお前には敵わない・・俺がこんな形でお前を抱きたい訳がないだろっ!なんで俺を受け入れるんだっ!!蹴り飛ばしてでも止めろよっ・・」
途中で止めて、感情的に想いをぶつけてくる響弥に迅鵺は胸を痛める。
「────すいません・・ただ、俺は真実を知りたいっていうか・・まだ、自分でもハッキリしてないんです。悠叶さんの事は俺だって怒ってます。会いたくないって気持ちもあります──・・でも、どうしても悠叶さんの事が頭にチラつく・・だから、もう少し考えさせて下さい。」
まだ自分の上に跨がってる響弥を真っ直ぐに見て言うと、響弥は長い溜め息を吐き、諦めたように迅鵺の上から退いた。
そのままソファーを背凭れに床に座り込む。
「────本当に、お前は男らしいな。普通、男に抱くなんて言われたら、受け入れないだろ・・しかも俺だぞ?
まあ、その強い所が俺達の業界でも成功するのに重要なんだけどな・・・やっぱり、お前は俺がスカウトしただけあるよ。」
ははっと、自嘲めいたように渇いた声で笑って“アイツに会うなら俺も連れてけ”と、ついに響弥は根負けした。
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