アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第六章
-
*****
『────迅鵺さんっ・・ごめんなさいっ、ごめんなさいっ・・』
『なんだぁ?なんで泣いてるんすか、悠叶さん。』
静寂と暗闇の中で、悠叶は涙をボロボロと止めどなく流し、流れて顎に集まった滴は大きな粒となって、ポタポタと下へ落としている。
これでもかってくらい下げている眉を震わせて“ごめんなさい”と繰り返す唇は、鼻水と涙で濡れていて、迅鵺は思わず自分の服の袖を伸ばして握ると、ゴシゴシと悠叶の顔を少し乱暴に拭いた。
『悠叶さん、めっちゃ汚いっすよ!』
笑い混じりに言うけれど、悠叶はただ泣くばかりだった。
『好きになって、ごめんなさいっ・・俺は、あなたを傷付けた・・取り返しのつかない事をしてしまった・・・』
悠叶は、そこまで言うと自分の顔を拭いてくれている迅鵺の手を掴んだ。
『もう、会うことはないから、安心して下さいっ・・これで、最後───・・』
悠叶は、掴んでいる迅鵺の手を自分の方へ引っ張って引き寄せると、迅鵺の唇に口付けを落とした。
ただ触れているだけの、子供みたいなキス。
悠叶の唇は、冷たくて、震えていた──・・
“なんて、悲しいキスなんだろう”
迅鵺は、悠叶の唇から自分の中に流れてくるように心情を感じていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 140