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第七章
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「きっと、引かれると思うんですけど・・俺、どうしようもなく、人が苦痛に歪ませた表情に興奮してしまうんです・・・実際に、初めて人の首を締めた時、我を忘れてしまう程に興奮して、首を締める感触にも夢中になった・・・俺にとっては、中毒性が高くて危険なんです。」
誰かを傷付けてしまう事に酷く怯えた。
迅鵺は悠叶の性癖を知って、ドキリと緊張を走らせる。嫌でもあの男と同一人物なのかと思ってしまう。
それでは説明がつかない事があるというのに、ただ漠然と──・・
それでも、迅鵺は悠叶を信じたかった。
話は続いて、悠叶が自分の性癖について、ずっと悩んで来た事も知った。
ずっと一緒だった、信頼出来る幼なじみにすら受け入れて貰えなかった孤独。
悠叶はその孤独の中で、ずっと自分の性癖を抑え込み思い悩んで、ひたすら隠し抱えて来た。
「────迅鵺さんにだけは触れないと決めていたんです。それが、あんな裏目に出るなんてっ・・」
悠叶は、迅鵺がマンションに引っ越して来た日、二度目に出会った時の事を脳内に鮮明に思い浮かべる。
「運命だと思ったんです・・まさに死のうと思ってた矢先に現れた光そのものだったんです。とても眩しかった。迅鵺さんの容姿のせいもありますけど、あの日の迅鵺さんは満面の笑みを浮かべていて、俺なんかが見る事が出来ないくらい、ずっと未来(さき)を見据えた迅鵺さんの目はキラキラしていて・・今でも、あの時の迅鵺さんの顔は忘れられません。」
この時から悠叶は、少しずつ迅鵺にのめり込んでいったのだ。
幼なじみの奏太に再開した事で酷く傷付き、生きる気力を失った悠叶は、迅鵺に出会った事で孤独から救われた想いだった。
ただ“その想い“が強すぎたのだ。
十年間もの間、たったの一人きりで生きてきた上に奏太との再開・・・
きっと、その反動から悠叶の想いは膨れ上がったのだろう。
最初は、隠れて趣味のカメラで迅鵺を盗撮し、影ながら慕っているだけでも幸せを感じていた筈だった。
けれど、気付くと“自分に気付いて欲しい”という想いが、知らず知らずに欲として出た。悠叶は、そんな心理から迅鵺を撮った写真とメッセージカードを一枚ずつ封筒に収めて、迅鵺のマンションのポストに投函していたのだ。
触れてしまったら壊してしまう・・怖い・・
でも、俺はここに居る・・
あなたが好きなんです・・気付いて欲しい・・
人間というものは、頭で理解していても心まで同じように反応してくれるかは別だ。
それが、人間にとって当たり前に生じる“矛盾”なのだ。
悠叶は、そんな矛盾の中でひたすら迅鵺の姿を追い求めた。
今までの孤独を、迅鵺で埋め尽くすように。
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