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第七章
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悠叶は、気まずそうにキュッと太腿の上にある布団握ると、戸惑いながらも顔を上げる。
「迅鵺さんっ、俺だって身を引こうとしたんですよ?ストーカー紛いな事だって辞めて、迅鵺さんに会うつもりだって無かったのに・・・」
“ストーカー紛い”じゃなくて、れっきとしたストーカーだと内心で突っ込み、迅鵺は首を傾げた。
「───どういう意味っすか?」
悠叶はカメラマンの他に副業でアルバイトをしている。
ある日、そのアルバイト先で見付けてしまったのだ。迅鵺のマンションを──・・
そのある場所から、マンションのリビングにカメラを向けると、外では見られないプライベートな迅鵺に釘付けになった。
悠叶はつい誘惑に負けてしまってたのだ。
けれど、それも二度目の夢以降、悠叶は自制して迅鵺にカメラを向ける事も姿を見ることさえ諦めたというのに、そのアルバイト先で、バッタリと迅鵺に出会ってしまったのだ。
そう、一週間掛けて受付嬢を落とし、侵入したあのビルで。
「はぁっ!?───でも、怪しい奴なんて誰も──・・それとも、たまたま居なかったのか?・・・あ、もしかして・・トイレ?」
迅鵺は、自分の記憶を辿っていったのか、悠叶に近い容姿をした人物を思い出したようだ。
迅鵺の予想は当たったようで、悠叶は小さく“はい”と頷いた。
「俺、カメラマンだけじゃ生活が厳しくて、あのビルの清掃員のバイトしてたんです・・」
最初はたまたまだった。少し体調が悪くなって外の風に当たろうと悠叶が屋上へ出た時に、迅鵺のマンションを見付けてしまい、欲が出てしまった。
後は、迅鵺達が予想していた通り、屋上から撮っていたようだ。
けれど、ストーカー行為を辞めてから一週間・・・トイレでバッタリ迅鵺と遭遇した。
悠叶は、清掃員の制服を着ていて、繋ぎの服に帽子も被っていた。
その時は、眼鏡を掛けた姿の悠叶を見たことが無かった迅鵺は、そんな至近距離で会っていたというのに気付かなかったのだ。
おまけに、迅鵺を襲った男とは雰囲気が違う佇まいに、あの男だとは思わなかったのだろう。
「あんな密室で迅鵺さんを見たのは、あの時が初めてだったんです。そしたら、どうしても迅鵺さんに近付きたくなった・・」
一週間、迅鵺を目にすることすら断っていた悠叶は、その反動もあったのか、もう自分の欲を抑える事が出来なかった。
後ろめたい気持ちを抱えながらも、悠叶はその日、TOP SECRETに足を運んだのだ。
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