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第十章
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「ようこそ、お越し下さいました。取ってありますお部屋は此方になります。」
代表に連れて来られた料理屋は、品のある日本料理亭。
白い石が敷き詰められている中央に、高級感のある大理石で造られた通路を歩いて玄関へ入る。
その玄関で迎えてくれた女将の後を着いていくと、個室へ案内され、代表と向き合う形で迅鵺と響弥は隣に座った。
「とりあえず好きなもん頼め。そんな、堅苦しい話しでもねぇからそんなに畏まんなよ。」
代表の言葉に、迅鵺と響弥はフッと肩の力を抜く。
「こんな高級な料理屋に連れて来られたら緊張もしますよ。」
響弥は“なあ?”と迅鵺に同意を求めた。
迅鵺は“そうっすね”と苦笑いで返して、代表に言われた通り好きな料理を注文すると、代表が口を開いた事で本題へと入った。
「この事はよ、まだ秘密だから他のヤツには話はないでくれ。実は、姉妹店を出す事になった。」
既に、いくつも店舗を持っているSECRETグループだが、新たに姉妹店を出すと聞いて迅鵺と響弥は、少し興奮気味だ。
「マジっすか!?もしかして、新店に行けってことっすか?」
響弥は、今までにも姉妹店を出すという経験があったようで、姉妹店を出すと言われて、なんとなく何を言われるのか予想出来たようだ。
迅鵺は、初めての事でピンと来ないようだった。
「いや、新店には俺が行く。」
代表の返答に、響弥は“えっ?”と溢すと、更に質問を投げ掛ける。
「じゃあ、うちはどうするんすか?」
代表が新店に行くという事は、TOP SECRETに代表が居なくなるという事。
それは、店を束ねる者が居なくなるという事で、重要な事だ。
代表は、よくぞ聞いてくれたというように口角を上げた。
「響弥、お前が代表になれ。もうそろそろいいだろ。社長と話して俺が勧めた。」
代表の言う事に、全く予想していなかった響弥は驚きの表情を見せると、少し躊躇ってる様子だ。
「いっ、いや、でも・・・俺に務まりますかね?ちょっと、不安っす。」
「姉妹店がオープンするまで、まだ一ヶ月ある。その間、お前は俺に付け。仕事を教える。」
まだ戸惑う響弥だが、代表を引き受ける事を承諾した。
そして、迅鵺は自分がなんの為に呼ばれたのか状況が分かっていない様子で、響弥との話しに区切りがついた時、遠慮がちに代表に訊ねる。
「あ、あのっ、自分がなんで呼ばれたのか分かんないんすけど・・」
そんな様子の迅鵺に、代表はニヤリと笑う。
「迅鵺、お前はうちに来てからよくやってくれてる。お前、響弥の後を継がねぇか?」
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